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MMWR抄訳

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2021/08/20Vol. 70 / No. 33

MMWR70(33):1109-1113
Protracted, Intermittent Outbreak of Salmonella Mbandaka Linked to a Restaurant — Michigan, 2008–2019

レストランに関連しているSalmonella Mbandakaの長期にわたる断続的なアウトブレイク ― ミシガン州、2008年~2019年

2018年、ミシガン州公衆衛生局は、2008年以降に発生したサルモネラ菌の亜型であるSalmonella Mbandaka感染の長期にわたる断続的なアウトブレイクの発生源がミシガン州西部にある1軒のレストランであると特定した。ミシガン州では2008年9月~2019年7月、一次症例35例(確診例33例、高度疑い例2例)、二次症例1例が確認されており、症例の年齢は1.5~90歳(平均57歳、中央値64歳)、26例(72%)が女性であった。24例(67%)が嘔吐または下痢、12例(33%)が尿路感染症を来し、6例(17%)が入院した。2012年、Kalamazoo County Health and Community Services Department(KCHCSD)はMichigan Department of Health and Human Services(MDHHS)から、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターンが非常に近縁であるSalmonella Mbandakaの症例が2008年から断続的に発生している報告を受けた。2012年~2014年、症例の詳細な食事歴を把握するためアンケート調査を実施した。確定診断された5例が1つのレストラン(レストランA)にて食事をしており、KCHCSDはレストランAの経営者から従業員の健康状態および感染、施設、設備、食材の仕入先、害虫駆除に関するさらなる情報を収集した。2017年にさらなるSalmonella Mbandaka症例が確認され、さらに症例を特定するため、2018年には集中的調査が開始され、アウトブレイク症例は類似するPFGEパターン(TDRX01.0120およびTDRX01.0127)、近縁の全ゲノムシーケンス(WGS)サブタイプを示すことが確認された。レストランで食事をしたことがあった19例、17例がレストランAで食事をしていた。2018年の調査ではレストランAの従業員の便検体および環境検体が並行して採取され、MDHHSの研究所にて、Salmonellaの分析がされた。便検体採取または採取の数週間前に症状のある従業員はいなかったが、従業員100名のうち4名の便検体からアウトブレイクのサブタイプと共通する菌が同定された。Salmonella Mbandaka陽性者は職場へ復帰する前に培養検査で2回陰性となることが義務づけられた。抗生物質の投与はSalmonella Mbandaka菌の排出を長期化する可能性があるため治療として投与されず、菌の排出期間は31~123日間と多様であった。地方および州の公衆衛生当局が採取した環境検体80検体中39検体(49%)からSalmonellaが検出され、アウトブレイクのサブタイプと同様のPFGEおよびWASの結果を示し、陽性検体がレストランの厨房全体から採取された。2018年9月の新規の1例が確認された後、2回目の環境検体採取が実施され、81検体中11検体(14%)でSalmonellaが検出され、アウトブレイクサブタイプと共通していた。2018年秋に、Salmonella根絶のために店を一時的に閉鎖し、再開前に床や設備、厨房などを改築し、完全に洗浄したにもかかわらず、引き続きSalmonella MbandakaがレストランAから検出され、2018年末に自発的に閉店した。閉店から8ヵ月後、閉店の3週間前にこのレストランで食事をした後、慢性的断続的な下痢を来していた症例の尿からアウトブレイク株の亜型が検出された。レストランに関連したSalmonella確定診断症例の調査では調査の早期にレストラン従業員の便検体と環境サンプリングを実施することによりSalmonella感染源の特定が強化さる。便検体が陽性である無症候性の従業員を職場から外す、職務を制限することをレストランでのアウトブレイクの緩和策の一部として考慮すべきである。

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