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MMWR抄訳

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2021/06/04Vol. 70 / No. 22

MMWR70(22):811-817
Impact of Policy and Funding Decisions on COVID-19 Surveillance Operations and Case Reports — South Sudan, April 2020–February 2021

COVID-19サーベイランス運用と症例報告に対する政策および財政的支援の決定の影響 ― 南スーダン、2020年4月~2021年2月

初期のモデルでは、アフリカ全体での相当なCOVID-19に関連する疾病率および死亡率が予測されたが、2021年3月の時点で、アフリカの国はCOVID-19罹患率が世界中で最も低いと報告されている。これは、効果的な感染軽減やアウトブレイク対応、人口統計学的特性を反映しているのか、または、疾病サーベイランス能力に限りがあることを示唆しているのかは不明である。COVID-19パンデミックに対応して、各国が財政的支援、国の政策、検査戦略の変更を実施したため、サーベイランス能力に悪影響が及んだ可能性がある。今回の研究では、2020年4月6日~2021年2月21日に報告された検査数および症例数を、財政的支援、政策、戦略の変更のタイミングに関連して分析し、サーベイランス運用の変化が南スーダンの報告に影響を与えたかを評価した。人口約1,100万人の南スーダンは、2020年2月にCOVID-19サーベイランスを開始し、2021年2月21日までに6,931例を報告した。分析されたサーベイランスデータは、入国前スクリーニング検査、アラートホットラインに連絡した症状のある人の検査、接触者追跡、定点サーベイランス、出国する旅行者スクリーニング検査から得たものであった。2020年5月初旬に旅行制限が緩和された後、陸上および空路での海外旅行が再開され、旅行前の検査結果が陰性であることを必須条件とすることが開始された。検査全体の中で旅行者のスクリーニング検査が占める割合は、検査陽性の割合が最も低いのにもかかわらず、分析期間中に21.1%から91.0%に300%を超えて増加した。2020年7月には、アラートホットラインと接触者追跡システムの財政的支援と後方支援の削減が発生し、国内の接触者検査戦略は、全接触者の検査を推奨から、症状のある人または有害な転帰のリスクが高いと考えられる人のみを対象とした検査に変更された。この変更後、接触者追跡とアラートホットラインによる検査の割合は、2020年6月の52.6%から2021年1月には3.4%まで減少した。2021年1月初旬に、症状に関係なく全接触者を検査する方針が復活し、接触者追跡とアラートホットラインによる検査が増加し、2021年2月15日から始まる週における検査の割合は6.3%であった。検査数はプロジェクト期間中に増加したが、陽性の結果をもたらす可能性が最も低い検査対象に移行し、症例の過少報告につながる可能性があった。南スーダンで実施されているような、COVID-19パンデミック対応に関連する政策、財政的支援、戦略の決定は、COVID-19アウトブレイクの疫学を解明する際に考慮すべき重要な問題である。

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