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MMWR抄訳

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2021/05/14Vol. 70 / No. 19

MMWR70(19):702-706
Diagnostic Performance of an Antigen Test with RT-PCR for the Detection of SARS-CoV-2 in a Hospital Setting — Los Angeles County, California, June–August 2020

病院におけるSARS-CoV-2検出のためのRT-PCRによる抗原検査の診断能 ― カリフォルニア州ロサンゼルス郡、2020年6~8月

COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の迅速で正確な検出は、病院でのCOVID-19蔓延などの公衆衛生上の対応で重要である。リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法などのin vitroでの診断用の核酸増幅検査(NAAT)は費用がかかり、所要時間が比較的長く、経験のある研究員を必要とする。抗原検査は迅速であり、より簡易に、安価で実施できる。Quidel Sofia 2 SARS抗原蛍光免疫測定法は発症から5日以内の症候性患者に対する緊急使用許可をFDAから受けており、症候性患者におけるRT-PCR検査との陽性一致率は96.7%、陰性一致率は100.0%と報告されている。今回、2020年6月30日~8月31日、カリフォルニア州ロサンゼルス郡の医療センターAの救急科(ED)に入院した計2,039例から検体を採取し、SARS-CoV-2検査としてRT-PCR法と抗原検査の2つの検査が行われ、検査能が比較された。患者は男性が913例(45%)、女性が1,126例(55%)、年齢中央値は56歳(16~107歳)であった。全体では307例(15%)にCOVID-19に合致する症状(38℃以上の発熱、呼吸窮迫、息切れ、咳、インフルエンザ様症状、悪心、嘔吐、下痢、頭痛)があり、1,732例(85%)が無症状であった。症状のある患者では120例がどちらかの検査で陽性であり[抗原検査陽性が52例(16.9%)、RT-PCR検査陽性が68例(22.2%)]、49例(16%)が両方の検査ともに陽性であった。無症状の患者では139例(8%)がどちらかの検査で陽性であり、抗原検査陽性が58例(3.4%)、RT-PCR検査陽性81例(4.7%)であった。無症状および症状のある患者における抗原検査の特異度は99.5%および98.7%、感度は60.5%および72.1%であり、2つの検査法の診断能の間には、陰性的中率(無症状患者98.1%、症状のある患者92.6%)を除き統計的有意差はなかった。また、症状については、RT-PCR陽性例では発熱、呼吸窮迫、息切れ、咳、インフルエンザ様症状などを認め、息切れはRT-PCR陽性例で最も多く認めた症状で(28%)。RT-PCR陽性/抗原検査陰性例の39%(20/51例)、RT-PCR陰性/抗原検査陽性例の42%(5/12例)に認めた。RT-PCR陽性/抗原検査陰性例の53%(27/51例)およびRT-PCR陰性/抗原検査陽性例の50%(6/12例)には症状がなかった。RT-PCR陽性/抗原検査陰性例には基礎疾患のある患者もいて(糖尿病10%、高血圧18%)、COVID-19様疾患の重症化リスクが高かった。以上、抗原検査はRT-PCR法に比べ感度が低く、抗原検査陰性であっても症状がある場合はRT-PCR法にて確認すべきである。

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