ポリオ根絶に向けた進捗を追跡するためのサーベイランス ― 全世界、2019年～2020年

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MMWR抄訳

2021/05/07Vol. 70 / No. 18

MMWR70(18):667－673
Surveillance to Track Progress Toward Polio Eradication — Worldwide, 2019–2020

ポリオ根絶に向けた進捗を追跡するためのサーベイランス ― 全世界、2019年～2020年

1988年のGlobal Polio Eradication Initiative(GPEI)設立時には、全世界で推定35万例のポリオウイルス感染症の症例が報告された。2020年には、140例の野生型ポリオウイルス(WPV)症例が確認され、1988年から99.99％減少した。WPV1型伝染は、2カ国(パキスタンとアフガニスタン)でのみ流行しているが、循環型ワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)のアウトブレイクは2019～2020年に33カ国にて発生した。ポリオウイルスの伝播は15歳未満の小児の急性弛緩性麻痺(AFP)の症候群サーベイランスによって主に発見され、便検体の臨床検査によって確認される。環境サーベイランスはAFPサーベイランスを補完し、ポリオウイルス感染の検出において一層重要な役割を果たしている。COVID-19の世界的パンデミックが宣言されてから2週間以内に、GPEIはサーベイランス活動を慎重に継続することを推奨するとともに、すべてのポリオワクチンの追加接種活動を中断した。今回、ポリオウイルス伝播のリスクが高いとみなされた優先国42カ国における2019年および2020年のサーベイランスパフォーマンスの指標についてまとめ、前回の報告を更新する。AFPサーベイランスの質は2つの主なパフォーマンス指標として、非ポリオAFP(NPAFP)率とAFP患者からの適切な便検体の収集により評価した。他のAFP性疾患の自然発生率に基づいて、15歳未満の小児10万人あたり2例以上のNPAFP率は、システムが循環型ポリオウイルスを検出するのに十分な感度であることを示している。サーベイランスの質は、AFP患者の80％以上から適切な便検体を採取することによっても保証される。WHOのアフリカ地域(AFR)では、全国的なNPAFP率と便検体の両方の指標の目標値を達成した優先国の割合は2019年が67％、2020年が48％であった。両方のサーベイランス指標の目標値は、2019年には地方行政レベル(州など)の61％で、2020年には53％で達成された。AFR諸国では、cVDPV2型の症例または環境分離株が、2019年に14カ国で、2020年に21カ国で確認された。WHOの東地中海地域(EMR)の優先国では、2019年には10カ国すべてで両方の指標の目標値を達成し、2020年では1カ国(イエメン、適切な便採取率78％)を除いて達成した。以上、ポリオウイルス伝染のリスクが高い42カ国における2019年～2020年のAFPサーベイランスデータの分析では、全国的および地方のNPAFP率と適切な便検体の採取が多くの優先国、特にAFRで低下したことが示され、サーベイランスの感度と質の低下を示唆している。今回の調査結果は、ポリオウイルス伝播を追跡し、伝播遮断のエビデンスを提供する高感度のサーベイランスシステムの回復に向けて改善を指南するために使用できる。

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