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MMWR抄訳

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2021/04/23Vol. 70 / No. 16

MMWR70(16):595-599
Laboratory Modeling of SARS-CoV-2 Exposure Reduction Through Physically Distanced Seating in Aircraft Cabins Using Bacteriophage Aerosol — November 2020

バクテリオファージエアロゾルを使用した航空機の客室内での物理的に離れた座席によるSARS-CoV-2曝露低減の実験モデリング ― 2020年11月

航空機では多数の人を長時間にわたり近接な状態になり、感染症の感染リスクが高まる可能性がある。現在のCDCガイドラインの推奨では、COVID-19のワクチン接種を受けていない人の旅行は反対されており、2021年1月のCDCの命令では、飛行機に搭乗中はすべての人にマスク着用が義務付けられている。研究では、航空機の近接した座席は、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に感染するリスク上昇と関連することが示唆されている。一方、航空機の客室の中央座席を空席とするなど、感染予防のために特定の距離を保つ戦略の利点を定量化する研究は限られている。CDCとカンザス州立大学(KSU)は、空中を浮遊するSARS-CoV-2の代替としてバクテリオファージMS2ウイルスを使用し、SARS-CoV-2曝露と航空機の座席の近接性の関係性について、満席、中央座席を空席とする占有シナリオを含め、モデル化した。満席の占有シナリオでの曝露と比較して、中央座席を空席とする占有シナリオでの相対的な曝露は、モデリングのアプローチによって23%~57%減少した。最初のアプローチでは、中央座席を空席とすることにより作られた乗客間の距離の拡大のみを考慮された。結果、感染している乗客から隣接する乗客が1席離れた場所に移動することで、曝露が23%減少すると予測された。120座席の客室に対する相対的な曝露の全体的な減少は、座席のパターンに応じて、感染した乗客1名、2名、3名に対して、それぞれ35.0%~36.4%、35.1%~38.2%、35.9%~39.4%の減少が得られた。真ん中の座席は空席にするため、感染者は座らないと考えられることから、すべての感染源は、窓側または通路側の座席に配置された。2番目のアプローチでは、1本の通路の両脇に3列席を配したモデルにおいて、合計18名の乗客のうち9名の感染した乗客(中央席の3名を含む)のクラスターが適用された。3列席の中央座席に座っていた感染した乗客と他の乗客が取り除かれ、窓側と通路側の座席に残っている合計12名の乗客のうち6名の感染した乗客が残された場合、57%の曝露減少が観察された。この実験モデルに基づくと、中央座席を空席とすることは、隣席の乗客からのSARS-CoV-2曝露のリスクを低減する。これらのデータから、乗客間における物理的距離の拡大と乗客の密度低下は、飛行機での移動中における潜在的なCOVID-19曝露を減らすのに役立つ可能性が示唆された。中央座席を空席にするなどの方針を含めた飛行機の乗客における物理的距離の保持は、SARS-CoV-2曝露リスクをさらに減らす可能性がある。

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