ホームIMICライブラリMMWR抄訳2021年(Vol.70)SARS-CoV-2変異株B.1.351の検出 ―・・・
2021/02/26Vol. 70 / No. 8
MMWR70(8):280-282
Detection of B.1.351 SARS-CoV-2 Variant Strain — Zambia, December 2020
ザンビアでは2020年3月に初めて、SARS-CoV-2を原因とする新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と検査で確定診断された症例が確認された。7月初旬から確定診断症例数は急速に増加し始め、7月から8月にかけて最初のピークに到達し、その後9月および10月に減少した。比較的少ない症例数であった3カ月後、12月中旬にCOVID-19症例は全国で急速に増加し始めた。2020年12月18日に、南アフリカはスパイクタンパク質に影響を与えるいくつかの変異を有するSARS-CoV-2変異株のゲノムを公表し、変異株には、伝播率の増大に関連する突然変異(N501Y)が含まれていた。この変異を有するSARS-CoV-2系統は、地理的に急速に拡大している。変異株[PANGO(Phylogenetic Assignment of Named Global Outbreak)系統B.1.351]は、8月上旬に南アフリカの東ケープ州で採取された検体から最初に検出され、南アフリカ国内に広がり、南アフリカで流行している他のSARS-CoV-2系統の大部分と取って代わったようにみえる。2021年1月10日の時点で、8カ国にてB.1.351変異株の症例が報告された。ザンビアでは、毎日の平均COVID-19確診症例数は12月1日~10日には44例であったが、12月16日~23日に採取された検体でB.1.351変異株が検出された後、1月1日~10日では700例と16倍に増加した。ザンビアは南アフリカと実質的に商業および観光のつながりを共有しているアフリカ南部の国であり、これが二国間のB.1.351変異株の伝播に寄与した可能性がある。12月16~23日に採取された23検体のうち、22検体(96%)がB.1.351変異株であり、これまでに配列決定された245件のゲノムにはないものであった。変異株を含む22検体のうち、21検体(95%)にはB.1.351系統を定義する9つの変異がすべて含まれていた。検体を採取した患者の13名が男性(57%)、年齢中央値は32歳であった。B.1.351変異株の検体は、4つの州(ルサカ州、南部州、カッパーベルト州、中央州)にある4つの地区[ルサカ(16件)、リヴィングストン(4件)、チンゴラ(1件)、チボンボ(1件)]の人から得た。5件(23%)の検体は、2つの異なるクラスターのものであり、他の症例検体の疫学的関連性は不明であった。B.1.351変異株の検出は、ザンビアでの確診症例の急増と一致した。この検出により、ザンビアと南アフリカにおけるCOVID-19アウトブレイクの間に疫学的なつながりが確立された。ザンビアにおけるこの変異株系統の起源、有病率、伝播特性をより理解するために、系統発生解析と追加のシークエンシングが進行中である。アフリカにおける遺伝疫学の能力を拡大することは、B.1.351変異株サーベイランスを強化するとともに、ワクチン接種プログラムの実施に影響を与える可能性のある新たな変異株の早期発見に役立つと思われる。
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