ホームIMICライブラリMMWR抄訳2021年(Vol.70)ミネソタ州でのSARS-CoV-2変異株B.1.1・・・
2021/02/26Vol. 70 / No. 8
MMWR70(8):278-279
First Identified Cases of SARS-CoV-2 Variant B.1.1.7 in Minnesota — December 2020–January 2021
2021年1月9日に、ミネソタ州保健局(MDH)は、5人の検体からSARS-CoV-2の懸念される変異株(VOC)であるB.1.1.7(20I/501Y.V1およびVOC202012/01とも呼ばれる)が確認されたと発表し、1月25日にはさらに3人の検体からこの変異株が確認されたことを発表した。他のSARS-CoV-2系統よりも感染力が強いと報告されているB.1.1.7変異株は、2020年12月にイギリスで初めて報告された。2021年2月14日の時点で、アメリカの39州とワシントンDCにて、B.1.1.7変異株のCOVID-19症例が合計1,173例確認されている。データのモデル化では、B.1.1.7が2021年3月にはアメリカで主要な変異株になる可能性があることを示唆している。B.1.1.7変異株は、Thermo Fisher Scientific TaqPath COVID-19 RT-PCRアッセイにおいて、S-gene target failure(SGTF)の原因となるスパイクタンパク質の変異を有している。MDH公衆衛生研究所は、2020年11月1日~2021年1月12日に収集されたSGTFのあるSARS-CoV-2 RT-PCR陽性検体(30件)、およびSGTFの人の家庭内接触者から収集された追加検体(1件)の31検体について全ゲノムシーケンスを実施した。SARS-CoV-2変異株B.1.1.7は、2020年12月18日~2021年1月11日に、ミネソタ州のミネアポリス・セントポール大都市圏の5つの郡の住民からの8検体で同定された。ミネソタ州で変異株B.1.1.7が確認された人の接触歴は、旅行(6名)、家庭内(1名)、地域内(1名)に関連していた。ミネソタ州に戻る前の検査結果が陽性であった1名を含め、発症または検体採取の14日前に3名が海外旅行、3名が国内旅行をしていたが、イギリスへの旅行した人はいなかった。ミネソタ州でのこの変異体の同定は、伝播を遅延させるために、マスク着用、物理的距離の保持、混雑や換気の悪い屋内空間の回避、COVID-19と診断された人の隔離、COVID-19感染者の濃厚接触者の検疫、CDC旅行ガイダンスの遵守などの感染軽減策の重要性を強調している。SARS-CoV-2が進化し続けるにつれて、タイムリーなゲノムサーベイランスと感染緩和戦略は、変異株の出現を監視し、公衆衛生を守るために重要になると思われる。
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