ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)Pfizer社/BioNTech社のCOVID-1・・・
2020/12/18Vol. 69 / No. 50
MMWR69(50):1922-1924
The Advisory Committee on Immunization Practices’ Interim Recommendation for Use of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine — United States, December 2020
2020年12月11日、FDAはPfizer社/BioNTech社製のCOVID-19(BNT162b2)ワクチン(Pfizer社)に緊急使用許可(EUA)を発行した。本ワクチンは脂質ナノ粒子製剤であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の融合前のスパイク糖タンパク質をコードするヌクレオチド修飾mRNAワクチンであり、接種は3週間の間隔をあけて2回を筋肉内注射する(各回30μg、0.3mL)。12月12日、Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)は16歳以上に対するCOVID-19予防としての本ワクチン使用に関する暫定的勧告を発表した。ACIPはワクチンに関する審議にGrading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation(GRADE)アプローチを用いたEvidence to Recommendationフレームワークを採用した。勧告はワクチンの初期供給を割り当てるACIPの暫定勧告と合わせて実施する必要がある。EUA下でのPfizer社/BioNTech社ワクチン使用に関するACIP勧告は暫定的であり、追加情報があれば更新される。Pfizer社/BioNTech社のCOVID-19ワクチンに関するエビデンスは第Ⅱ相/第Ⅲ相大規模二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験にて示されている(対象43,000例以上、年齢中央値52際、16~91歳)。試験の中間結果では、中央値2カ月の追跡期間にて、SARS-CoV-2の既感染エビデンスがない人における症候性COVID-19予防に関する本ワクチンの有効性は95.0%と示唆された。年齢別、性別、人種および民族別、基礎疾患のある人でも一貫して高い有効性(92%以上)が認められ、2次解析でも試験被検者における有効性はSARS-CoV-2既感染エビデンスの有無にかかわらず、同様に高かった。入院例および死亡例は少数であるが、プラセボ接種例に比べワクチン接種例にて一貫して重篤な転帰リスクが少なかった。全身生副作用は初回接種後に比べて2回目接種後に多く報告されており、56歳以上に比べ18~55歳にて頻度が多く重症であった。また、全身性副作用は接種後中央値1~2日に発現し、中央値1日で回復した。ワクチン接種例における重度(grade3以上)の局所/副作用の発現はプラセボ接種例よりも多く(8.8%)、疲労(4.2%)、頭痛(2.4%)、筋肉痛(1.8%)、悪寒(1.7%)、投与部位痛(1.4%)が多かった。重篤な副作用(死亡、生命にかかわるもの、入院を要するものなど)の発現率はワクチン接種例(0.6%)とプラセボ接種例(0.5%)で同等であった。GRADEエビデンス評価では、症候性COVID-19予防におけるPfizer社/BioNTech社のCOVID-19ワクチンの有益性の推測値はタイプ1(高い確実性)、COVID-19関連入院の予防に関してはタイプ3(低い確実性)、死亡の予防に関してはタイプ4(非常に低い確実性)であった。現時点では入院と死亡に関するデータは限られているが、症候性感染の予防に対しては効果的であり、入院や死亡の予防効果も期待されている。ACIPはCOVID-19を重大な公衆衛生的問題としており、Pfizer社/BioNTech社のCOVID-19ワクチンの使用は合理的かつ効率的な資源配分であると判断した。ワクチン接種前には接種を受ける人またはその保護者に対し、EUA Fact Sheetを配り、Pfizer社/BioNTech社のCOVID-19ワクチンによる予想される全身性または局所性副反応に関して忠告すべきである。妊婦、免疫不全または重度のアレルギーのある人など、特定の条件を有する集団に対する接種の詳細などについては、追加の臨床的考慮事項などはホームページで確認できる(https://www.cdc.gov/vaccines/covid-19/info-by-manufacturer/pfizer/clinical-considerations.html)。また、OVID-19ワクチン接種後に発現した有害事象はVaccine Adverse Events Reporting System(VAERS)への報告が義務付けられている。
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