ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)HIV検査における性差 ― PEPFAR支援を受け・・・
2020/12/04Vol. 69 / No. 48
MMWR69(48):1801-1806
Sex Differences in HIV Testing — 20 PEPFAR-Supported Sub-Saharan African Countries, 2019
2018年10月~2019年9月、アメリカ大統領のエイズ救済緊急計画(PEPFAR)に定期的に報告されるアフリカ20カ国のデータを使用し、15歳以上の成人におけるHIV検査率および症例発見について評価する観察研究を行った。この期間、PEPFARは計60,945,355件のHIV検査を支援し、2,603,560名の成人にて検査結果陽性であった(陽性率5.0%)。全検査の約1/5(19.9%)は南アフリカ共和国にて行われた。検査は女性が男性よりも多かったが(40,263,510件 vs. 20,681,845件)、陽性率は女性よりも男性にて高かった[1,633,460件(4.1%) vs. 970,100件(4.7%)]。男性の陽性結果の半数以上(51.6%)は南アフリカ、タンザニア、ザンビアから報告され、南アフリカのみで約1/3(29.2%)であった。データの少なかったマラウイを除いた19カ国において、 HIV/AIDSとともに生きる人(PLHIV)は医療者主導によるHIV検査およびカウンセリング(PITC)により63.2%、インデックス検査(PLHIVのパートナーや子供を対象とする検査)により17.4%、利用者主導によるHIVカウンセリングおよび検査(VCT)により11.0%、モバイル検査(ワゴン車、職場、学校など依頼のあった時にその場限りで行う検査)により8.4%検出された。PTICでは他の検査戦略よりも多くのPLHIVを検出したが、陽性率はPTICよりもインデックス検査にてすべての国において男女とも高く、全体でPTICが1,598,200/45,255,400例(3.5%)、インデックス検査が440,500/1,990,000例(22.1%)であった。各国のインデックス検査によるPLHIV検出症例数は500例 [11.0%(南スーダン)]~116,500例[21.4%(タンザニア)]であり、タンザニアに次いでザンビア(63,587例)、ケニア(51,717例)、モザンビーク(40,681例)、ウガンダ(34,585例)にて多かった。また、これらの国ではインデックス検査にて検出された全体のHIV陽性男性の約2/3(69.7%)を占めていた(ウガンダ15,313例、モザンビーク19,064例、ケニア22,259例、ザンビア28,383例、タンザニア52,040例)。男性のVCTによる検出率は8カ国(アンゴラ、カメルーン、コートジボワール、マラウイ、モザンビーク、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ)にてPTICよりも高く、コンゴ民主共和国(DRC)にて低かった。男性のモバイル検査による検出率はカメルーン、コートジボワール、DRC、マラウイ、モザンビーク、ナイジェリア、ウガンダ、ジンバブエにてPTICよりも高く、ボツワナ、レソト、南アフリカにて低かった。女性ではVCTはボツワナを除くすべての国にてPTICよりも検出率が高く、モバイル検査による検出率はボツワナ、南アフリカ、ケニアを除く国にてPTICよりも高かった。以上、PTICとインデックス検査はHIV検査率を改善し、アフリカ20カ国における新規HIV陽性者の検出を最大限にできる可能性がある。
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