ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)COVID-19に対応したHIV治療プログラムの迅・・・
2020/10/23Vol. 69 / No. 42
MMWR69(42):1549-1551
Rapid Adaptation of HIV Treatment Programs in Response to COVID-19 — Namibia, 2020
ナミビアはアフリカ南部にある高中所得国で、人口は約250万人である。2020年3月13日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のナミビアでの初感染例2例が確認され、海外渡航からの帰国者であった。3月17日、ナミビア大統領は緊急事態を宣言し、すべての国境の閉鎖、地域の旅行制限の制定、学級閉鎖、集会の延期、全国的なフィジカルディスタンス対策の実施などの措置が導入された。2020年10月19日時点で、ナミビアのCOVID-19確診例は12,326例、COVID-19関連死亡は131例が報告されている。CDCはU.S. President’s Emergency Plan for AIDS Relief(PEPFAR)の支援の一環として、COVID-19に対応したHIV治療プログラムを迅速に調整し、Ministry of Health and Social Services(MoHSS)に技術支援を提供した。ナミビアではPEPFARの支援を受け、2004年までにHIVの流行を制御しており、HIV感染者の95%が自身の状態を認識し、そのうち95%が抗レトロウイルス治療(ART)を受け、ARTを受ける患者の92%がウイルス量抑制を達成している(HIV RNA量1,000copies/mL以下)。COVID-19パンデミックはこれらのプログラムを損なう可能性があるため、MoHSS はART施設での患者数を減らし、救命のART治療を優先させ、COVID-19への曝露リスクを低減させた。国内14地域にて医療従事者をサポートするART指導医を窓口として、3月17日~4月21日、Extension for Community Healthcare Outcomes(ECHO)プロジェクトのプラットフォームを利用した7回の通信セッションが行われ、MoHSSはCDCの支援を受けて、PEPFARガイダンスに従い、施設の準備、ARTの複数月調剤(MMD)およびART調剤の地域拡大を実施した。施設の準備には患者のスクリーニングおよびトリアージの計画を含み、施設に来たART患者をスクリーニングし、COVID-19の症状を認める場合はCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のPCR検査を実施し、結果が出るまで隔離した。無症状の患者は混雑した待合室を避け、迅速にトリアージを受け、MMD調剤は少人数の場所で説明された。施設のスタッフおよび症状を認める患者には個人用保護具が提供された。ARTの4カ月MMDは国の在庫の確認およびARTガイダンスの調整により治療の継続性を確実にした。医療ケア施設でARTを受ける171,830例のうち166,237例(97%)にNational Central Medical Storeの4~6カ月分の在庫を配布、さらに12カ月間の供給を可能とするため緊急調達が行われた。また、地域でのART調剤は1)新たに設置したARTポイント、2)プライマリーヘルスケアのアウトリーチポイント、3)地域の服薬アドヒアランスグループ、4)巡回車、5)宅配などにより拡大し、特にナミビアの国境近くでARTの補充を求めるアンゴラ人にとって重要な国境にもアウトリーチポイントを設置し、医療サービスへのアクセスが困難な患者のためにARTホットラインも設置された。その他、HIV治療におけるSARS-CoV-2感染を予防するため、患者と医療施設との接触を最小限にし、Zoom、Skype、電話、ソーシャルメディア、モバイルアプリなどの代替通信手段が利用された。
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