ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)ポリオ根絶への進捗 ― アフガニスタン、2019年・・・
2020/10/09Vol. 69 / No. 40
MMWR69(40):1464-1468
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Afghanistan, January 2019–July 2020
野生型ポリオウイルス1型(WPV1)の伝播はアフガニスタンおよびパキスタンにてのみで進行中であり、アフガニスタンでは2013年~2016年に症例数が減少した後、2017年~2020年には毎年増加している。今回、2019年1月~2020年7月、アフガニスタンにおけるポリオ根絶への活動とその進捗状況について報告する。WHOおよびUNICEFでは、アフガニスタンの12カ月未満乳児における3回の2価経口ポリオワクチン(bOPV)定期接種率は2018年、2019年ともに73%、1回の静注ポリオワクチン(IPV)接種率は66%と推定している。2019年、6~23カ月齢乳幼児における定期予防接種を介した非ポリオ急性弛緩性麻痺(NPAFP)症例の経口ポリオワクチン(OPV)3回接種率歴は69%であり、1回も接種していない小児の割合は全国では1%であったが、アフガニスタン南部のカンダハール州(7%)およびウルーズガーン州(25%)、東部のクナル州(7%)では高かった。この期間、5歳未満の幼児を対象としたワクチン追加接種活動(SIA)のキャンペーンとして、全国予防接種日(NID)が5回、準SNIDが5回、WPV1症例対応キャンペーンが2回、循環型ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)症例対応キャンペーンが1回行われ、NIDでは9,999,927名を対象とし、SIAではポリオウイルス伝播ハイリスク地域にて554,211名(87%)の幼児を対象にIPVが接種された。2019年3月では449,756名(4%)がNIDにアクセスできず、その数は2019年11月、2020年1月ではそれぞれ2,844,197名(28%)、2,655,821名(27%)と増加した。COVID-19によりSIAが5カ月間中断した後、2020年7月にcVDPV2対応キャンペーンとして1価経OPV 2回接種が東部地域にて行われたが、1,101,740名中107,768名(10%)がアクセスできなかった。これらのSIAにアクセスできたが接種を逃した小児は、2019年3月399,969名(4%)、2019年11月/2020年1月299,977名(2%)、2020年7月22,035名(2%)であった。また、10歳以下の小児を対象に、アクセスしにくい地域への中継地点と、イラクおよびパキスタンとの国境地域にてそれぞれ24,009,626回、1,296,109回のbOPV接種が行われた。2019年のサーベイランスでは、15歳未満におけるNPAFPの割合は10万人あたり18例(12~26例)、便検体回収率は94%(90%~98%)であった。環境サーベイランスにおけるWPV1検出率は2018年が25%(83/336検体)、2019年が23%(56/259検体)、2020年8月29日時点で10%(26/249検体)であり、検出された地域は南部のヘルマンド州およびカンダハール州、東部のナンガルハール州であった。WPV1症例は2018年[21例(6州14地区)]と比べ、2019年[29例(10州20地区)]、2020年1~7月[41例(12州30地区)で増加している。2019年~2020年に報告された70例のうち、54例(77%)は36カ月齢未満の幼児であり、19例(27%)はOPV未接種、15例(21%)は1~2回接種、36例(51%)は3回以上接種していた。ウイルスのゲノム配列解析では、アフガニスタンとパキスタンの国境を超えた複数の伝播のエビデンスが確認された。
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