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MMWR抄訳

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2020/10/02Vol. 69 / No. 39

MMWR69(39):1385-1390
Infant Homicides Within the Context of Safe Haven Laws — United States, 2008–2017

Safe Haven Lawの背景における乳児殺人 ― アメリカ、2008年~2017年

殺人は、アメリカの乳児(1歳未満)において13番目に多い死因である。生後24時間以内に発生する乳児殺人(新生児殺人)は、主に母親によって実行されるが、若年、未婚、学歴が低い母親、意図しない妊娠の隠蔽や病院以外の出産に関連している可能性がある。また、生後1日の乳児殺人では、他の要因(児童虐待、ネグレクト、保育者の欲求不満など)と関連しているかもしれない。1989年から1998年までのアメリカの乳児に対する殺人リスクの年齢変動に関する2002年の研究では、全国の乳児殺人率は10万人年あたり8.3であるが、生後1日目では10万人年あたり222.2であり、殺人率は他のどの時期よりも10倍以上高かった。この期間のリスクが高いため、50州すべてとプエルトリコでは、2008年までにSafe Haven Lawが制定された。これらの法律では、育児放棄または生命の危険にさらされる可能性のある乳児の親に対し、乳児を手放すことを合法的に認めている。CDCは、2008年から2017年のアメリカでの乳児殺人について分析し、Safe Haven Lawの全国的な施行後に発生率が変化したかを判断し、乳児殺人率と州固有のSafe Haven Lawの年齢制限との関連性について調査した。2008年~2017年の全国における乳児殺人率は10万人年あたり7.2、生後1日目では74.0であり、1989年~1998年に比べて66.7%減少した。しかし、生後1日目の殺人率は、他の時期と比較して5.4倍と高いままであった。10万人年あたりの乳児殺人率は、男児で女児よりもやや高く(8.0 vs 6.2)、母親が非ヒスパニック系黒人(14.4)および非ヒスパニック系アメリカインディアン/アラスカ先住民 (14.9)では非ヒスパニック系白人(5.9)よりも2倍以上高く、非ヒスパニック系アジア人/太平洋諸島民(3.1)では最も低かった。乳児殺人件数のほぼ3分の2を20~29歳の母親が占めていたが(65.2%)、10万人年あたりの乳児殺人率は、20歳未満の母親では20~29歳の母親よりも2倍以上高く(18.7 vs. 9.1)、30歳以上の母親(2.6)よりも7倍以上高かった。乳児殺人率とSafe Haven Lawの年齢制限との間には明らかな関連性は認められなかった。経済的支援を強化し、手頃な料金の育児ケアを提供し、若い親のスキルを強化および改善するプログラムおよび政策は、乳児殺人の防止に貢献する可能性がある。

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