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MMWR抄訳

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2020/09/04Vol. 69 / No. 35

MMWR69(35):1216-1220
Preventing and Mitigating SARS-CoV-2 Transmission — Four Overnight Camps, Maine, June–August 2020

SARS-CoV-2感染の防止と緩和 ― 4つの宿泊キャンプ場、メイン州、2020年6月~8月

2020年3月11日に、WHOは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを宣言した。その後すぐに、アメリカの公立および私立学校あわせて12万4,000校が休校し、2019-20学年の年度末までに少なくとも5,510万人の生徒に影響を及ぼした。2020年の夏の時期は、アメリカの宿泊キャンプ場8,947カ所の約82%が閉鎖した。メイン州では、100カ所ある宿泊キャンプ場のうち開場したのは約20%のみであった。ジョージア州の宿泊キャンプでは、最近、キャンプ参加者とスタッフにおけるCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の感染が報告され、この時に非薬剤的介入(NPI)は厳密に守られていなかった。一方、軍の基礎訓練生におけるSARS-CoV-2感染を緩和するために使用されたNPIは功を奏している。2020年6月~8月に、メイン州の4つの宿泊キャンプ場ではSARS-CoV-2感染の防止および緩和のため、いくつかのNPIを実施した(入場前の隔離、入場前後の検査および症状スクリーニング、コホーティング、フェイスカバーの使用、身体的距離の保持、衛生対策の強化、洗浄と消毒、最大限の屋外プログラミングなど)。具体的には、遅発性の感染の可能性や移動中の感染に対応するために、すべてのキャンプ場では検査やスクリーニングの結果に関係なく、キャンプ場到着後14日間、参加者をコホートごとに隔離した。各キャンプ場は、コホート間で発生する高感染リスク活動を特定して緩和するためにキャンプ特有の毎日のプログラムに注意を払いながらNPIを実施した。すべての参加者は、咳およびくしゃみのエチケット、手指消毒などの衛生対策に関する指示を受け、すべての活動期間、食事、他者との接触のある交流などの前後に、石鹸と水、あるいはエタノール60%以上またはイソプロパノール70%以上を含む手指消毒剤で手を洗浄することを求められた。すべてのNPIへのコンプライアンスがスタッフによって監視された。スタッフは、期間中に休暇でキャンプを離れることはなかった。キャンプ到着後、キャンプ参加者とスタッフは、医療スタッフにより毎日、検温とCOVID-19と一致する症状について直接質問をされた。キャンプ期間中の検査および症状スクリーニングにより、COVID-19に感染した参加者を早期かつ迅速に特定し隔離することができた。41州、1つの準州、海外6カ所から来た1,022人の参加者(スタッフとキャンプ参加者)のうち、1,010人が到着前に検査を受けた。到着の2カ月前にCOVID-19と診断された後、隔離期間を完了した12人の参加者には検査をしなかった。無症状の参加者4人(0.4%)は、到着前のSARS-CoV-2検査結果が陽性であった。この4人は到着を延期し、自宅で10日間の隔離を完遂したが、無症状のままであり、到着前またはキャンプに参加中、それ以上の検査は受けなかった。キャンプ到着の約1週間後、これまでCOVID-19の診断を受けていない1,006人の参加者全員が検査され、無症候性症例が3人確認された。この3人と彼らの接触者を隔離後、SARS-CoV-2の二次感染は発生しなかった。これらの調査結果は、宿泊キャンプ、寮がある学校、大学などのように人が集まる環境にいる子供、青年、成人におけるSARS-CoV-2感染を防止および緩和するために、同様の複合的な公衆衛生戦略に情報を提供できるであろう。

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