ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)過剰な飲酒による死亡および損失生存可能年数 ― ア・・・
2020/07/31Vol. 69 / No. 30
MMWR69(30):981-987
Deaths and Years of Potential Life Lost From Excessive Alcohol Use — United States, 2011–2015
過剰な飲酒はアメリカにおいて予防可能な死亡の主な原因であり、関連する費用(職場での生産性低下、医療費、刑事裁判費など)は2010年には2,490億ドルが費やされた。CDCはAlcohol-Related Disease Impact(ARDI)アプリを使用して、2011年~2015年における全国および州でのアルコールに起因する平均年間死亡数および損失生存可能年数(YPLL)を推定した。この期間、アメリカにおけるアルコールに起因する平均死亡者数は計95,158名であり、YPLLは280万年であった(アルコールに起因する死亡あたりのYPLLは29.0)。死亡者95,158名のうち51,078名が慢性疾患(53.7%)、44,080名が急性疾患(46.3%)による死亡であり、280万年のYPLLのうち110万(40.0%)は慢性疾患、170万(60.0%)は急性疾患によるものであった。また、男性は67,943名(71.4%)、200万YPLL(71.0%)を占め、年齢別では、35~64歳(52, 921名、55.6%)、65歳以上(24,972名、(26.2%)、20~34歳(14,819名、15.6%)の順で多かった。慢性疾患による死亡はアルコール性肝疾患が全体(18,614名)、男性(12,877名)、女性(5,277名)のいずれでも最も多く、急性疾患による死亡は、飲酒とともにアルコール以外の物質を飲酒時に摂取したことによる中毒(薬物過量摂取など)が全体(11,839名)および女性(4,315名)では最も多く、男性は過剰な飲酒による自殺が最も多く(7,711名)、アルコール以外による中毒は7,524名であった。全国の年齢で補正した人口10万人あたりのアルコールによる平均年間死亡率は28.0、YPLLは873.0であり、アルコールによる平均年間死亡数およびYPLLには地域差があり、それぞれ203(バーモント州)~11,026名(カリフォルニア州)、5, 085(バーモント州)~308,831名(カリフォルニア州)であった。また、40州でのアルコールによる10万人あたりの年齢補正死亡率は20.8(ニューヨーク州)~53.1(ニューメキシコ州)、YPLLは631.9(ニューヨーク州)~1,683.5(ニューメキシコ州)であった。過剰な飲酒を防ぐため、酒税の引き上げ、アルコール販売数やアルコール濃度の制限など、効果的な防止策を実施することにより、アルコールによる死亡やYPLLを減少させる可能性がある。
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