ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)65歳以上の成人における致命的ではない転倒と転倒に・・・
2020/07/10Vol. 69 / No. 27
MMWR69(27):875-881
Trends in Nonfatal Falls and Fall-Related Injuries Among Adults Aged ≥65 Years — United States, 2012–2018
アメリカでは65歳以上の成人(高齢者)の負傷の主な原因は転倒であり、2018年では推定300万件の救急科受診、95万件を超える入院または別の施設(外傷センターなど)への転送、約32,000名の死亡が高齢者における転倒に関連した負傷に起因していた。転倒による死亡は増加しているが、85歳以上では最も増加が大きい。今回、年齢別および人口統計学特性により、高齢者(65歳以上)における致命的ではない転倒の割合と、転倒および転倒に関連する負傷の傾向を経時的に評価するために、Behavioral Risk Factor Surveillance Systemの2018年のデータを分析し、2012年、2014年、2016年のデータと比較した。2018年では、高齢者の27.5%が昨年中に少なくとも1回は転倒し、10.2%が昨年の転倒により負傷した。転倒または転倒に関連した負傷があった高齢者の割合は、年齢上昇とともに有意に増加した。全体で、昨年中の転倒または転倒に関連した負傷は女性(各29.1%、11.9%)が男性(各25.5%、7.9%)よりも有意多かったが、年齢別にみると、85歳以上では転倒および転倒に関連した負傷ともに性別による有意差はなかった。転倒は黒人(22.5%)およびアジア人/太平洋諸島民(15.6%)にて白人(28.3%)よりも少なく、転倒に関連した負傷は、アメリカンインディアン/アラスカ先住民(15.2%)で白人(10.2%)よりも多かった。健康状態が改善するにつれて、高齢者の転倒した割合は減少した。2012年から2016年にかけて高齢者の転倒の割合は増加し、2016年から2018年にかけてはわずかに減少した。転倒は予防可能であり、医療提従事者は高齢患者の転倒のリスクを減らす手助けができる。高齢患者の転倒リスクのスクリーニング、修正可能なリスクファクター(向精神薬の使用、足取りやバランスの悪さなど)の評価、リスク軽減のための介入(投薬管理、理学療法の紹介など)の推奨により、高齢者の転倒を防ぐことができる。
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