ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)男性機能強化サプリ摂取後における重症低血糖症のアウ・・・
2020/06/19Vol. 69 / No. 24
MMWR69(24):740-743
Outbreak of Severe Hypoglycemia After Ingestion of a Male Enhancement Supplement — Virginia, August–November 2019
2019年8月13日、バージニア州中毒センターに救急医から57歳の男性に関する相談があった。この患者は糖尿病の既往はなく、前日から発汗と激越が現れ、当日の昼食後に症状が解消したが、再度、激越が増悪した。錯乱状態から12時間後、病院の救急外来で検査を受け、血糖値が48mg/dLであった(正常値:70~100m/dL)。オクトレオチドとデキストロースの静注投与により、患者の精神状態は回復した。この患者にインスリンや血糖降下薬の投与歴はなかったが、リッチモンドにあるコンビニエンスストアにて購入した経口男性機能強化サプリ(V8錠)を使用していたことが判明した。医療保険の問題から勃起不全(ED)治療薬シルデナフィルの処方は使用できず、8月10~12日、V8錠を夜に1錠服用していた。担当医と中毒センターは2009年に発生したシルデナフィル偽造薬による低血糖症アウトブレイクに関する文献レビューから、スルホニルウレア中毒を疑い、V8製品のサンプルを検査のため収集した。また、8月22日、中毒センターにリンチバーグの50歳男性に関する報告があった。この男性に糖尿病の既往はなく、発汗、震え、錯乱を来した。救急医療サービスチームにて血糖値が32mg/dLと確認され、グルコースを経口投与され、外来到着時には正常値になっていたが、1時間後、再度、低血糖症となった。デキストロース投与にもかかわらず血糖値が42mg/dLまで低下するなど低血糖状態を繰り返し、3日間の入院を要した。この患者もインスリンや血糖降下薬は使用しておらず、リンチバーグのガソリンスタンドにて購入したV8サプリを使用していた。低血糖が長引いたことから、中毒センターでは、そのサプリにスルホニルウレアが含まれていたと仮定した。患者の血液および尿の分析でグリベンクラミドとシルデナフィルが検出され、V8錠のサンプルを検査のために収集した。8月14日にVirginia Department of Agriculture and Consumer Services(VDACS)およびVirginia Department of Health(VDH)によりアウトブレイクの調査が開始され、V8の摂取による低血糖症のため入院した患者が追加で15例確認された(全例男性、33~73歳)。最初に検査における平均血糖値は30mg/dL(最低値:11mg/dL)であり、3例は再発により2回入院していた。V8が原因の死亡例はなかった。V8錠のサンプルを分析した結果、すべて錠剤にシルデナフィルが55~156mg含まれており、ほとんどの錠剤にグリベンクラミドが90~100mg(糖尿病治療用量の5~10倍)含まれていた。8月22日、VDACSはV8サプリ使用による致死的な低血糖症の可能性について消費者に警告を公表し、ブルーリッジ中毒センターはさらに8月26日と9月12日に、消費者に対しV8サプリを使用しないよう勧告した。9月16日、VDHは他州に対しCDCのEpidemic Information Exchange(Epi-X)に通達を掲示した。最後の症例は11月6日に確認された。
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