ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)ネブラスカ州の結婚式における無症候性の感染から発生・・・
2020/06/05Vol. 69 / No. 22
MMWR69(22):666-669
Multistate Mumps Outbreak Originating from Asymptomatic Transmission at a Nebraska Wedding — Six States, August–October 2019
2019年8月26日、Nebraska Department of Health and Human Services(NDHHS)は、サウスダコタ州の病院から、8月3日にネブラスカ州で行われた結婚式に参加した3名におたふく風邪が疑われるとの報告を受けた。8月28日、花嫁から出席者のリスト(176家族、約325名、14州)を入手し、同日、NDHHSは発生が複数の州に及ぶ可能性をEpi-Xを利用して公表し、さらに追加症例を特定するため、176家族全員にWebベースのアンケートを送付し、医療関係者、地方の保健局、サウスダコタ州保健省および公衆衛生研究所におたふく風邪の可能性のある患者の報告を要請した。症例固定は2012年の症例基準に基づいて行い、患者には電話にて隔離を指示した。インデックス患者は子供の保育を仕事とする25歳のネブラスカ州居住者であり、フロリダ州とアンティグア島への家族旅行から戻ってきた1歳児と7月25日から6日間にわたり濃厚接触していた。幼児は6月に麻しんおたふくかぜ風しん混合(MMR)ワクチンの初回接種を受けており、7月24日に旅行から帰った後に高熱を出し、しきりに自分の耳をひっぱり、受診したところ、ウイルス性疾患と診断された。インデックス患者は8月3日の結婚式に出席し(子供との初接触から9日後)、翌日に左耳と顎の圧痛、5日には耳下腺炎を発症し、9日に受診した。コルチコステロイドによる治療を受けたが、診断検査は行われず、おたふく風邪の可能性例に分類された。結婚式に出席した約325名のうち148名がアンケートに回答した。全体で31例の二次感染症例が確認され(確診例13例、高度疑い例18例)、8月19日~9月1日に耳下腺炎を発症していた(結婚式の16~29日後)。30名が結婚式に参加し(発病率9%)、1名は結婚式には参加していなかったがインデックス患者と接触していた。うち14例(45%)がネブラスカ州北東部の地域Aの住民であり、結婚式の参加者30名中15名にMMRワクチン2回接種歴があった。その後、三次感染症例27名(確診例23例、高度疑い例4例)が特定され、耳下腺炎の発症は9月7日~23日、うち17名(63%)が地域Aの住民であった。6名が二次感染症例と関連、18名は地域Aのイベントに参加、3名の疫学的関連は不明であった。四次感染症例は3名(いずれも確診例)、耳下腺炎は9月26日~29日に発症、全員が地域Aの住民であり、三次感染症例と関連していた。以上、計62名の感染が確認され(確診例39例、高度疑い例23例)、54例(87%)がネブラスカ州、8例は他の州(サウスダコタ州4例、アイダホ州、ミネソタ州、ノースダコタ州、ワイオミング州が各1例)であり、年齢は35歳(6~59歳)、男性37例、女性25例、MMRワクチンは41例(66%)に2回接種歴があり、重篤な合併症や入院例は認めていない。二次感染症例の45%、三次感染症例の63%および四次感染症例全例が地域Aの住民であったため、州および地域の公衆衛生当局はMMR追加接種を実施し、対象者のうち327名(47%)が接種を受けた。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.