ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)COVID-19パンデミック中における乳幼児ワクチ・・・
2020/05/22Vol. 69 / No. 20
MMWR69(20):630-631
Decline in Child Vaccination Coverage During the COVID-19 Pandemic — Michigan Care Improvement Registry, May 2016–May 2020
2020年3月13日、アメリカは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のパンデミック感染拡大に対し国家非常事態を宣言し、ミシガン州ではこれに対応して3月23日に外出禁止令を出した。パンデミック中における乳幼児の予防接種率の変化を評価するため、Michigan Care Improvement Registry(ミシガン州の予防接種情報システム)のデータを分析した。ワクチンの接種状況は1月齢、3月齢、5月齢、7月齢、16月齢、19月齢および24カ月齢にて評価し、各コホートのサンプルサイズは2016年~2019年は平均9,269名、2020年は9,539名であった。5カ月齢の乳児に推奨されるすべてのワクチンの接種率は2016年から2019年にかけて、各年5月時点で66.6%、67.4%、67.3%、67.9%であったが、2020年5月では49.7%となった。16カ月齢の幼児コホートにおける推奨ワクチン接種率も低下しており、麻疹含有ワクチン接種率は2019年5月には76.1%であったが、2020年5月は70.9%であった。また、2020年1~4月におけるインフルエンザ以外のワクチン接種回数は2018年および2019年の同時期に比べ18歳以下の小児で21.5%、24カ月齢以下の幼児では15.5%減少していた。また、2020年5月の各年齢コホート(1カ月齢、3カ月齢、5カ月齢、7カ月齢、16カ月齢、19カ月齢、24カ月齢)における予防接種率はMedicaid加入者の乳幼児にて低く、その差は7カ月齢の幼児でもっとも大きく、Medicaid加入者が34.6%、Medicaid非加入者が55.0%であった。アメリカではSARS-CoV-2感染を軽減するための対応として、医療崩壊を阻止するため、可能なものは遠隔医療へ移行している。健康児における診察のいくつかは遠隔のビデオ診療にて完了しうるが、予防接種は対面での診療が必要なため、同時刻の来院者数を制限、待合室や受付の閉鎖、電話で患者の診断、ワクチン接種は駐車場にとめた車でするなどの措置をとっている。医師は電子カルテや予防接種記録を利用し、家族とともに個別の受診スケジュールを組み、小児が定期接種摂取を逃していないかを確認し、感染症予防対策を実施すべきである。もし、麻疹ワクチン予防接種率が90%~95%に達しない場合、麻疹アウトブレイクが発生する可能性があり、麻疹ワクチン接種をしていない小児には協力して迅速なキャッチアップ接種を確実に行う必要があり、Advisory Committee on Immunization Practiceが推奨する他のワクチン予防接種に関しても同様である。ミシガン州は地域の保健局とワクチン提供者に対し、パンデミック中の予防接種率の評価、忘れずに接種するための促進ツール、ワクチン提供者と小児の親に対しワクチン接種の必要性に関する教育の推進を継続している。
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