ポリオ根絶への進捗状況の追跡サーベイランス ― 全世界、2018年～2019年

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MMWR抄訳

2020/05/22Vol. 69 / No. 20

MMWR69(20):623－629
Surveillance to Track Progress Toward Polio Eradication — Worldwide, 2018–2019

ポリオ根絶への進捗状況の追跡サーベイランス ― 全世界、2018年～2019年

1988年にGlobal Polio Eradication Initiative(GPEI)が開始され、全世界のポリオ症例数は約99.99％減少し、現在、野生株ポリオウイルス(WPV)の伝播が継続している国はアフガニスタンとパキスタンの2カ国のみとなっている。2019年、WPVおよびワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)アウトブレイクを認める国、およびこれらの国々に近接する40カ国はポリオサーベイランスの優先国とされており(2018年:31カ国)、今回、2018～2019年の優先国における急性弛緩性麻痺(AFP)および環境サーベイランスとWPV、循環型VDPV(cVDPV)検出状況を報告する。VDPVアウトブレイク数の増加により、WHOアフリカ地域(AFR)47カ国における優先国は2018年の18カ国(38％)から2019年には30カ国(64％)に増加し、2型cVDPV(cVDPV2)症例または環境サーベイランス検体からの分離株検出は2018年には5カ国であったが、2019年には14カ国にて確認されている。AFPサーベイランスにおける非ポリオAFP(NPAFP)率の基準値(15歳未満の小児10万人あたりのNPAFP症例数が2例以上)と便検体採取率の基準値(麻痺発症から14日以内に24時間以上空けて便検体を2回採取し、WHO研究室まで適切な温度にて良好な状態で搬送する割合が80％以上)を両方とも満たした優先国は、2018年が27カ国(90％)、2019年は20カ国(67％)であった。2018～2019年、AFRではWPV症例は報告されず、cVDPV2症例は2018年の65例から2019年の287例に増加していた。WHO東地中海地域21カ国における優先国は2018年の11カ国(52％)から2019年の5カ国(24％)に減少、1型WPV(WPV1)症例はアフガニスタンにて2018年は21例、2019年は29例(38％増)、パキスタンでは2018年に12例、2019年には147認められ(1,125％増)、cVDPV2症例は2019年、パキスタンにて22例報告されている。サーベイランスの基準値は4カ国が満たしていた。WHO西太平洋地域ではマレーシア、パプアニューギニア、フィリピンの3カ国が優先国であり、サーベイランス基準値はいずれも満たしておらず、2019年、フィリピンではcVDPV1症例が2例、cVDPV2症例が13例、マレーシアではcVDPV1が3例報告され、パプアニューギニアでは2018年にcVDPV1が26例報告されていた。また、南東アジア地域の優先国はインドネシア、ミャンマーの2カ国であり、サーベイランス基準値は2018年には両国とも満たしたが、2019年ではミャンマーのみであった。cVDPV1症例は2019年、ミャンマーにて6例報告されたが、インドネシアでは2018年、1例報告された。2018年および2019年にカメルーン、コートジボワール、ケニアにてポリオウイルスの循環が確認されたように、環境サーベイランスはAFP症例を認めない時点でもポリオウイルス循環を確認するサーベイランスの感度を向上させる。中国、中央アフリカ共和国、ガーナ、マレーシア、ナイジェリア、フィリピン、ソマリアでもAFP症例が確認される前に環境サーベイランスでcVDPVの循環が確認され、イラクでも2019年にWPV1が下水から検出されていた。Global Polio Laboratory NetworkではAFP症例の便検体を2018年に190,555検体、2019年に219,049検体検査し、WPV1を2018年に33検体、2019年に156検体から検出し、cVDPVは2018年に105検体、2019年に437検体から検出した。

References

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