ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)山火事で避難所に避難した人におけるノロウイルス疾患・・・
2020/05/22Vol. 69 / No. 20
MMWR69(20):613-617
Outbreak of Norovirus Illness Among Wildfire Evacuation Shelter Populations — Butte and Glenn Counties, California, November 2018
カリフォルニア州における史上最悪の山火事Camp fireは2018年11月8日に発生し、11月25日に鎮火した。避難所に約1,100人が避難し、11月10日、2カ所の避難所においてノロウイルス感染が疑われる急性胃腸炎(AGE)が報告された。ビュート郡の公衆衛生局(BCPHD)はカリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)の支援を得て調査を開始した。今回はその結果を報告する。Camp Fire発生前におけるビュート郡の人口は約23万人(2018年)、そのうち18%は連邦貧困レベル以下の生活水準であった。11月8日~25日、Camp Fireは153,336エーカーを焼き、18,793棟の建物(救急病院1棟、高度看護施設3棟を含む)が焼失し、約52,000人が避難し、85名が死亡した。非政府組織(NGO)は避難所を9カ所開設し(ビュート郡:8カ所、グレン郡:1カ所)、約1,100人が収容されていた。11月8日~30日、ノロウイルス感染が合計292例確認され(確診例:16例、高度疑い例:276例)であり、推定発病率は27%、12例(4%)が避難所のスタッフであり、アウトブレイクのピークは11月14日(54例)であった。病院または救急医療施設で診察した症例は21例(7%)、死亡例はなかった。性別の明らかな255例のうち女性は131例(51%)、年齢の明らかな239例における年齢中央値は63歳、17例から採取した便検体のうち16検体(94%)がノロウイルス陽性であり、遺伝子型はGII4.Sydneyであった。11月17日よりCDPHとBCPHDは定期的にAGE患者数の確認と9カ所の避難所のうち6カ所における感染防止対策(IPC)の評価を開始した。11月20日~22日、包括的疾患スクリーニングプロトコールを実施した避難所は1カ所のみ(17%)、定期的なゴミの廃棄も1カ所(17%)、食事場所における手を洗うための流しの設置は3カ所(50%)、食事や飲み物のセルフサービス停止は3カ所(50%)にて行われ、子供が遊ぶ場所でICPを実施した避難所はなかった。アウトブレイク中にBCPHD、CDPHはNGOや州のEmergency Medical Services Associationなどと協力し、これらの問題点を改善について調査を続行した。11月29日~30日に継続して開設されていた5カ所の避難所を評価した結果、避難所における包括的疾患スクリーニングプロトコールの実施は5カ所(100%)、定期的なゴミの廃棄は5カ所(100%)、食事場所における手を洗うための流しの設置は3カ所(60%)、食事や飲み物のセルフサービス停止は5カ所(100%)、子供が遊ぶ場所でICP実施は4カ所(80%)に改善していた。アウトブレイクは徐々に収束し、11月30日以降は発症例を認めていない。大災害時の避難所でのAGEアウトブレイクには避難所での適切な疾患サーベイランスおよびIPCを優先して実施する必要がある。
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