ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)地域社会での緩和策のタイミングとCOVID-19報・・・
2020/04/17Vol. 69 / No. 15
MMWR69(15):451-457
Timing of Community Mitigation and Changes in Reported COVID-19 and Community Mobility — Four U.S. Metropolitan Areas, February 26–April 1, 2020
地域社会での緩和活動(薬剤以外の介入)は、感染症の蔓延を遅らせるために個人や地域社会がおこす行動である。緩和戦略には家庭や地域社会の場で個人ができる防御対策(手洗い、咳エチケット、顔を覆うなど)、ソーシャルディスタンス(公共の場で他の人との物理的な距離を保つ、家で過ごすなど)、家庭や学校および職場などの公共の場での環境表面の清掃などが含まれる。ワクチンや治療法などの医学的対策がない場合、ソーシャルディスタンスなどの行動は特に重要である。公共および地域組織により自発的にソーシャルディスタンスを選択することもできるが、公共政策では実施を強化することができる。CDCのCommunity Mitigation Frameworkでは、地域レベルでの実施への段階的アプローチを推奨している。今回、大都市圏であるカリフォルニア州サンフランシスコ市、ワシントン州シアトル市、ルイジアナ州ニューオーリンズ市、ニューヨーク州ニューヨーク市の初期データを呈示し、報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における公共政策のタイミング、地域の移動量(ソーシャルディスタンスの代理測定)、時間的傾向の関係を述べた。3月初旬に実施された州および地方の政策に加え、2020年3月16日にホワイトハウスは、COVID-19の蔓延を減らすために行動する人に対し、15 Days to Slow the Spreadガイドラインを発表した。この国家によるアクションは、2020年3月30日にさらに30日間延長された。COVID-19の累積症例数増加に関連する地域社会での緩和策のタイミングは、地域によって異なった。4つの大都市圏すべてにおいて、緊急事態宣言は累積症例数が大幅に増加する前に最初に発行された政策であり、「Stay-at-home」令は、ニューオーリンズの大都市統計地域を除くすべての地域で発行された最新の緩和政策である。4つの大都市圏すべてで、発行される政策数が増加するにつれて、外出する住民の割合は減少し、4地域における外出率は、2月26日では80%近かったが、4月1日までにニューヨーク市で42%、サンフランシスコ市で47%、シアトル市で52%、ニューオーリンズ市で61%となった。全体として、緊急事態宣言は移動量に持続的な変化をもたらさなかったが、複数の政策(集会の制限や学級閉鎖など)とホワイトハウスの15 Days to Slow the Spreadガイドラインの実施後に移動量は低下した。4地域では、Stay-at-home令後に移動量がさらに低下した。今回の報告は、公共政策措置がソーシャルディスタンスを支援する重要なツールであることと、対策の早期指示がCOVID-19拡散を遅延させるために役立つかもしれないことを示唆している。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.