ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)クルーズ客船の検疫時における乗員のCOVID-19・・・
2020/03/20Vol. 69 / No. 11
MMWR69(11):312-313
Initial Investigation of Transmission of COVID-19 Among Crew Members During Quarantine of a Cruise Ship — Yokohama, Japan, February 2020
クルーズ客船の乗客および乗員における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイクにより、約3,700人の乗客と乗員に対し日本の横浜港で、2020年2月3日から約4週間、検疫が行われた。検疫の終わりまでに、乗客および乗員約700例のCOVID-19が確定診断された。今回、2020年2月4日~12日のクルーズ客船調査初期段階における乗員のCOVID-19症例に関する知見を報告する。2月1日にCOVID-19が検査で確定診断された乗客は、1月23日に発症し、横浜港に到着前の1月25日に下船していた。また、COVID-19が確定診断された別の乗客は、1月22日に発症し、2月3日の客船が横浜港到着時に乗船していた。症状がある乗客は全員、横浜に到着してすぐに検査され、陽性結果が出た乗客は2月4日と5日に下船した。このアウトブレイクの最初の患者は特定できなかった。2月5日に、船に残った乗客は客室内で14日間の待機を要請された。乗船者の約3分の2は、デッキ5~12の客室に滞在する乗客であった。残りは乗員で(1,068人)、その80%以上の船室はデッキ2~4にあった。最初に確認された症例は1月22日と23日に発症した乗客であったため、COVID-19は最初に乗客から乗員に感染し、その後、乗員間、特にフードサービス従事者に感染したと考えられた。乗員で最初に確認された症例は、2月2日に発熱したフードサービス従事者であった。2月9日までに乗員の計20例が検査で陽性と確定診断され、このうち3例は、COVID-19陽性と確定診断された他の乗員と検疫実施前に濃厚接触があった。検疫の開始から3日以内に7例の乗員が発症し、これは、COVID-19の病原体であるSARS-CoV-2感染が検疫の実施前に発生したと考えられることを示唆している。乗員の食事場所は、乗員が集まる主要な場所として同定され、乗客はこの場所を利用できなかった。乗員で感染が確認された20例のうち15例が、他の乗員と乗客に食事を用意するフードサービス従事者であり、20例のうち16例は、フードサービス従事者が居住しているデッキ3に船室がある人であった。このことから、同じデッキ(デッキ3)および同じ職種グループ(フードサービス)で働いていた乗員の間で、おそらく接触または飛沫拡散により、感染が広がったようであり、現時点でわかっているCOVID-19感染像と一致する。また、8例は同室者がおり、3月4日の時点で、8例の同室者のうち5例もCOVID-19を発症していた。この調査により、大勢の人が集まる密接または密集した環境(クルーズ船、ライブハウス、医療施設、競技場、体育館など)でCOVID-19が発見されたらすぐに迅速な疫学的調査が必要であることを強調された。
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