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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)国内感染シャーガス病 ― ミズーリ州、2018年

MMWR抄訳

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2020/02/21Vol. 69 / No. 7

MMWR69(7):193-195
Autochthonous Chagas Disease — Missouri, 2018

国内感染シャーガス病 ― ミズーリ州、2018年

2017年12月13日にミズーリ州のDepartment of Health and Senior Services(MDHSS)へ、ミズーリ州におけるシャーガス病疑い例が報告された。患者は53歳の女性で、10月に地元の献血センターに献血のため訪れた。採取された血液のスクリーニング検査で寄生虫Trypanosoma cruziの抗体が陽性であることが10月25日に通知された。11月8日に実施された追跡確認のための検査結果も陽性であり、患者は精査のために感染症専門医に紹介された。患者の記憶では、サシガメに咬傷されたことはなかった。渡航歴では、約28年前にカリフォルニア州へ旅行し、買い物のためにメキシコ国境を数時間越えたことがあり、また、フロリダ州とアラバマ州へ旅行したことがあるが、旅行した年は不明であり、旅行中に虫刺されや病気になったことはなかった。患者に輸血歴および臓器移植歴はなかった。患者は、11月28日にELISA法によるT.cruzi免疫グロブリンG(IgG)診断検査を受け、結果は陽性であった。また、CDCにおけるT.cruzi抗体のWiener遺伝子組換え抗原酵素免疫測定法(EIA)は陽性であったが、trypomastigote excreted secreted antigen(TESA)免疫ブロット分析は陰性で、T.cruzi IgG抗体の免疫蛍光アッセイでは陽性であった。T.cruzi感染が心筋症を引き起こす可能性があるため、心電図および心エコー検査を実施した結果、不整脈および軽度の求心性左室肥大を認め、感染の慢性期と一致した。すべての確認検査の後、患者はシャーガス病に対するベンズニダゾール(5mg/kg/日)による60日間にわたる治療を完遂した。記録された症例のほとんどはラテンアメリカ出身の患者であるが、これらの調査結果はミズーリ州でT.cruziへの感染が局地的に生じた可能性を示している。T.cruziの媒介昆虫であるサシガメ(一般に「kissing bug」として知られる)はミズーリ州で以前に同定されていたが、地元で感染したシャーガス病のヒトの症例は州内にこれまでいなかった。医療従事者と公衆衛生の専門家は、アメリカ南部で局地的に感染したシャーガス病の可能性に注意する必要がある。

References

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