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MMWR抄訳

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2020/02/14Vol. 69 / No. 6

MMWR69(6):149-154
Travel-Associated and Locally Acquired Dengue Cases — United States, 2010–2017

渡航関連または局地的に発生したデング熱症例 ― アメリカ、2010年~2017年

デング熱はフラビウイルス科に属する4種の蚊媒介性デングウイルス(DENV-1~DENV-4)に起因する急性発熱性疾患で致死に至ることもあり、熱帯地方全域に流行している。アメリカにおける渡航関連および局地発生デング熱症例の疫学的傾向を把握するため、CDCは全国アルボウイルスサーベイランスシステム(ArboNET)に50州およびワシントンDCから報告された症例を分析した。確診例は、患者にフラビウイルスが蔓延している国への渡航歴がない場合、1)RT-PCR法により体液または組織中にウイルスRNAを検出、2)確証的アッセイにより組織内にDENV抗原を検出、3)DENV非構造タンパク質1(NS1)抗原を検出、4)免疫グロブリンM(IgM)抗DENV抗体を検出、のいずれかとした。患者にフラビウイルスが蔓延している国への渡航歴がある場合は、IgM陽性症例を高度疑い例とした。世界的なデング熱症例数は、1990年から2013年にかけて10年ごとに倍に増え、2010年の推定最大DENV感染者数は3億9,000万例、症候性症例数は9,600万例となった。デング熱に対する特定の治療法は確立しておらず、FDAが認可したワクチンDengvaxiaは20カ国にて承認されており、アメリカでは最近、9~16歳に対する使用が認可された。2010年~2017年、計5,387例のデング熱症例がArboNETに報告され、うち5,009例(93%)が渡航関連、387例(7%)が局地発生例であり、3分の2の症例が高度疑い例であった。男女比は同等で(男性2,688例、女性2,698例)、年齢中央値41歳、ほぼ半数(46%)が白人であり(2,485例)、アジア人は14%であった(753例)。感染したDENVが特定された459例ではDENV-1がもっとも多かった(308例、67%)。年間症例数は2011年がもっとも少なかった(254例、5%)、2016年がもっとも多かった(961例、18%)。渡航関連デング症例の平均年間数は626例、平均年間罹患率は渡航者100万人あたり16例であり(7~28例)、約半数(53%)の症例がニューヨーク州(18%)、カリフォルニア州(16%)、フロリダ州(14%)、テキサス州(5%)の4州から報告された。渡航先はカリブ海(33%)、アジア(29%)が多く、中央アメリカ(14%)、北アメリカ(10%)、南アメリカ(7%)と続いた。もっとも多い渡航先は2010年~2014年はカリブ海(42%)であったが、2015~2017年ではアジア(35%)に変わり、渡航先の国はインド(591例、12%)、メキシコ(472例、9%)、ドミニカ共和国(443例、9%)、プエルトリコ(343例、7%)が多かった。局地発生デング症例はハワイ州にてもっとも多く(250例、66%)、フロリダ州(103例、27%)、テキサス州(24例、6%)、ニューヨーク州(1例、0.3%)と続いた。ハワイ州での症例の98%が2015年~2016年のアウトプレイク中に報告され、フロリダ州の症例の大半が2010年のモンロー郡(56例)、2013年のマーティン郡(17例)でのアウトブレイクで報告され、テキサス州の症例のほとんどが2013年のキャメロン郡での小規模アウトブレイクで報告された(21例)。渡航関連症例の94%、局地発生例の94%でデング熱と一致する症状が報告され、重症例はともに1%未満であった。デング熱症例の入院は全体で2,176例(40%)であり、ほとんどが渡航関連症例であった(2,119例、97%)。死亡例は18例 (1,000例あたり3例)、全例が渡航関連症例であり、年齢中央値は47歳(21~80歳)であった。熱帯地方への渡航の際は、虫除けを使用、長袖、長ズボンを着用するなど、蚊に刺されないようにし、蚊の発生場所に近寄らないようにすべきである。

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