ホームIMICライブラリMMWR抄訳2020年(Vol.69)黒人またはアフリカ系アメリカ人におけるHIV検査の・・・
2020/01/31Vol. 69 / No. 4
MMWR69(4):97-102
HIV Testing Outcomes Among Blacks or African Americans — 50 Local U.S. Jurisdictions Accounting for the Majority of New HIV Diagnoses and Seven States with Disproportionate Occurrences of HIV in Rural Areas, 2017
2017年、新規診断ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症例の43%が黒人またはアフリカ系アメリカ人(黒人)であり、診断から90日以内にHIV治療を受診、HIV治療を継続、ウイルス抑制例が白人に比べて少ない。Ending the HIV Epidemic(EHE)は2020年から2030年までにHIV新規感染例を90%減少させることを目標としており、EHE第1段では2016年~2017年に新規診断例が50%を超えた50の管轄地域、HIV感染率が高い農村部にて不均衡に多い7州を対象としている。今回、CDCの 2017年 National HIV Prevention Program Monitoring and Evaluationデータを用いて、HIV感染率が高いEHE管轄地域の黒人におけるHIV検査の転帰について分析した。2017年、アメリカではCDCの資金提供による検査が計3,110,049名に行われた中にEHE第1段階管轄地域の1,954,741名(62.9%)が含まれており、第1段階管轄地域では20~29歳(36.0%)、男性(52.3%)、南部地域(57.0%)が多く、黒人(43.2%、844,819名)が白人(21.6%、421,656例)やヒスパニック/ラテン系(22.4%、437,635例)の2倍であった。また、EHE第1段階管轄地域の黒人では20~29歳が37.7%(318,835名)、男性が49.7%(419,746名)、南部地域の居住者が63.2%(534,304名)が多かった。HIV新規診断例は計11,843例であり、そのうちEHE第1段階管轄地域が68.9%(8,154名)を占めており、20~29歳(42.9%、3,994名)、男性(83.4%、6,801名)、黒人(49.1%、4,007名)、南部地域の居住者(49.1%、4,007名)が多かった。EHE第1段階管轄地域における新規HIV診断の陽性率は全体で0.4%、黒人およびヒスパニック/ラテン系は各0.5%、白人およびアジア系は各0.3%であった。EHE第1段階管轄地域の黒人における新規HIV診断の陽性率は20~29歳(0.6%、男性(0.7%)、西部地域居住者(0.7%)にて高かった。また、今回検査を受けた患者のうち11,427名は以前にHIV感染症と診断されていたが治療状況が不明であり、うちEHE第1段階管轄地域は8,917名(78.0%)であった。治療状況不明者は、20~29歳(30.2%)、30~39歳(27.7%)、男性(78.1%)、黒人(58.5%)、南部(62.0%)に多く、黒人(58.5%、5,214名)は白人(17.0%、1,516名)、ヒスパニック/ラテン系(15.2%、1,359名)の3倍以上であった。黒人のHIV新規診断例のうち、79.2%が90日以内に治療を受けたが、71.4%がパートナーサービスのインタビューを受け、81.8%がHIV予防サービスを紹介された。黒人のHIV新規診断例の地域別では、90日以内に治療をうけた割合は西部にて最も低く(71.7%)、パートナーサービスのインタビューおよびHIV予防サービスの割合はともに中西部にて最も低かった(それぞれ58.9%、70.2%)。以上、黒人はEHE管轄地域における2017年のHIV新規診断例の40%以上を占めており、EHEの目標達成にはHIV予防プログラムをエビデンスに基づく地域ごとの検査戦略に焦点をあてたものにし、治療への結びつけ、治療継続、HIV感染を減少させ地域による格差を是正することが重要である。
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