ホームIMICライブラリMMWR抄訳2019年(Vol.68)電子たばこによる急性リポイド肺炎のアウトブレイク ・・・
2019/09/13Vol. 68 / No. 36
MMWR68(36):784-786
Outbreak of Electronic-Cigarette–Associated Acute Lipoid Pneumonia — North Carolina, July–August 2019
電子たばこは、通常、ニコチン、香料、他の化学物質を含む液体を加熱することによりエアロゾルを生成し、使用者はエアロゾルを吸い込み、この行為は「ベイピング」と呼ばれる。また、電子たばこは、マリファナや他の薬物の送達にも使用できる。ここ数カ月で、ベイピングが潜在的に関連する急性肺障害の可能性例が、25州から200例以上報告された。2019年7月~8月にノースカロライナ州の2つの病院で、電子たばこの使用に関連する可能性のある急性肺障害5例(18~35歳)が確認された。全例で呼吸困難、悪心、嘔吐、腹部不快感、発熱が数日間で悪化し、検査時の呼吸仕事量の増加、低酸素血症を伴う頻呼吸を呈し、胸部X線で両側肺浸潤を示した。全5例とも、電子たばこでのマリファナオイルまたは濃縮物を最近の使用歴があった。使用した製品はすべて、テトラヒドロカンナビノールのベイピング濃縮液またはオイルを含む詰め替え可能なチャンバーまたは交換可能なカートリッジを備えた電子ベイピングペン/電子たばこであり、すべて路上で購入していた。3例はニコチン入りの電子たばこも使用し、2例はマリファナまたは従来の紙巻たばこを吸っていたが、他の違法薬物は使用していなかった。5例とも低酸素性呼吸不全のために入院し、そのうち3例は急性呼吸窮迫症候群のため集中治療を要し、1例は挿管と人工呼吸器を必要とした。既往歴、画像検査、臨床検査、気管支鏡検査の診断に基づき、全5例が急性外因性リポイド肺炎と診断された。全例、メチルプレドニゾンの静脈内投与(120~500mg/日)開始後24~72時間以内に臨床的に改善し、経口プレドニゾン量の漸減の下に退院した。これらの症例における急性リポイド肺炎に関する説明として可能性の1つは、電子たばこから吸入されたエアロゾル化されたオイルが末梢気道と肺胞内に堆積し、ガス交換を障害する局所炎症反応を引き起こすことが挙げられる。これら5症例から、電子たばこでのマリファナオイルまたは濃縮物の使用とリポイド肺炎には関連性ある可能性があることに注意することの重要性が強調されている。複数州で進行中であるアウトブレイクの他の症例が、今回報告した症例と同様の特徴を有しているか否かを判断するために、急性肺障害に特異的な病因と誘発因子のさらなる調査が望まれる。リポイド肺炎患者はコルチコステロイドで改善する可能性があるが、最適な治療レジメンおよび期間、この肺障害の長期的な影響は不明である。
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