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MMWR抄訳
2019/07/19Vol. 68 / No. 28
MMWR68(28):627-630
Successive Norovirus Outbreaks at an Event Center — Nebraska, October–November, 2017
イベントセンターにおけるノロウイルスの連続アウトブレイク ― ネブラスカ州、2017年10月~11月
2017年10月、ネブラスカ州保健社会福祉省(NDHHS)は、イベントセンター(施設A)での結婚披露宴の出席者に生じた胃腸疾患のアウトブレイクについて地域の保健所から報告を受けた。その後も連続で、施設Aのイベント参加者における同様の胃腸疾患が州および地方の公衆衛生当局に報告されたことから、症例および原因の特定、可能性のある感染経路の評価、制御のための勧告の提供を目的とした調査が開始された。10月30日に、公衆衛生当局は施設Aでの10月27日の結婚披露宴(イベント1)に出席した後に胃腸疾患を発症した約30人を把握し、イベントの約12~48時間後に下痢、嘔吐、腹部疝痛、発熱を呈していたことから、ノロウイルスを疑った。確定症例と高度疑い例を明確にするため、便検体中のノロウイルスRNAをRT-PCR法により検出した。10月27日から11月18日の間、施設Aではフードサービスの提供を含む10のイベントが開催され、全体で、従業員18人と9つのイベント参加者360人を含む計378人がアンケート調査を完遂した。1つのイベントは70人の参加者中1人のみしか回答が得られなかったため今回の分析からは除外した。調査では、施設Aの従業員および9つのイベント参加者にノロウイルス感染と一致する159例(確定例:3例、高度疑い例:156例)が確認された。10月27日のイベント1では、イベントホールの入り口のロビーで参加者がカーペット上に嘔吐しており、施設Aでの最初のノロウイルス流行の可能性があった。11月7日の調査で、カーペット上での嘔吐が起きた際のカーペット消毒が不適切であり、薬剤がノロウイルスに有効でなかったことが確認された。調査当局は、環境表面は次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)溶液、または環境保護局(EPA)に登録されたノロウイルスに対して効果的な消毒剤で消毒し、発症した従業員は症状消失後48時間以上たつまで、勤務停止にすることを勧告した。しかし、その後も感染は継続し、勧告後の清掃は最小限で、発症した従業員を24時間未満で職場復帰させていたことが判明した。最初の勧告による感染防止が失敗した後、施設Aの管理者との協議が数回行われ、従業員の厳格な勤務停止の勧告が繰り返され、感染した従業員の仕事へのプレッシャーを最小限にすること、予定しているイベントの延期や代替会場を探すことなどが考慮された。11月16日~17日、施設Aは施設を消毒するためにノロウイルスを根絶させた経験のある専門の清掃サービスを採用した。消毒と厳格な従業員の勤務停止が行われたことにより、その後の11月18日に開催されたイベント(イベント9)の推定発病率は1%で、感染は減少したことが示された。その後の施設Aの従業員やイベント参加者に疾患の発症はなかった。同様の状況での持続的なノロウイルスのアウトブレイクを防止するために、公衆衛生当局は、関連施設が広範囲な消毒と発症した食品取扱者に対する厳格な出勤停止(症状消失後少なくとも48時間)を含む包括的な予防策をできる限り早く確実に実施するようにさせるべきである。
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