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MMWR抄訳

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2019/05/17Vol. 68 / No. 19

MMWR68(19):433-438
Pool Chemical Injuries in Public and Residential Settings — United States, 2008–2017, and New York, 2018

公共および居住施設におけるプール用化学薬品による健康被害 ― アメリカ、2008年~2017年、ニューヨーク州、2018年

プール用化学薬品は親水レクリエーション施設(プール、風呂/温泉、水遊び場など)の公衆衛生を保護するために水の処理用として添加され、病原体を不活化したり、pHを最適化したり、水の透明度を高めたりするが、取り扱いを誤ると健康被害を来す可能性がある。CDCはU.S. Consumer Product Safety Commissionによる2008年~2017年のNational Electronic Injury Surveillance System(NEISS)データから、プール用化学薬物による救急外来(ED)年間受診数を分析した。結果、この期間における推定年間受診数(中央値)は4,535(3,151~5,215) 名であり、2015年から2017年では計13,508名(人口10万人あたり1.4名)がEDを受診していた。うち93.9%の患者はEDにて治療を受けて、または治療を受けずに帰宅し、推定5,245名は中毒と診断された。中毒と診断された患者の約90%は経口摂取というよりも吸入による健康被害であり、推定3,745名が皮膚炎または結膜炎、推定2,588名が化学熱傷と診断されたが、死亡例は認めていない。住居で発生した障害は受診者全体の少なくとも56.3%(7,601名)にのぼると推定され、事故発生場所のデータが得られた9,065名のうち83.8%に該当した。また、約2/3の患者は夏の水泳シーズン[メモリアルデーの週の週末にあたる土曜日(5月末頃)~レイバーデー(9月第1月曜日)]にEDを受診していた。NEISSの報告では化学薬品の煙霧または粉塵を吸入したとき(とくに容器を開けたとき)、プール用化学薬物が子供たちから安全な位置まで離れていないとき、または水に入る直前にプール用化学薬物が入れられたときに健康被害が発生していた。ニューヨーク州では親水レクリエーション施設に対し、施設での水浴に関連して病気や健康被害により病院受診、蘇生救急、死亡などが発生した場合、24時間以内に報告することを義務付けている。2018年8月には州北部の屋外プールにて、メンテナンス担当者が注入口からプールへ黄色い物質が漏れているのを確認し、監視員が客をプールから出した。メンテナンス担当者が調べたところ、再循環ポンプが作動しておらず、再循環システムに水が流れていなかった。ポンプを作動させたところ、システム内の水が流れ出し、より大量の黄色い物質がプールに入り、刺激臭が発生した。調査により、前夜の停電により再循環ポンプはシャットダウンしたが、化学薬物供給装置は遮断されず、濃縮塩素と酸が混合し、再循環システムに有毒な塩素ガスが発生したものと推定された。プールにいた人は水疱、吐き気、嘔吐、顔や目への刺激を訴え、数人は医療従事者のフォローを必要とした。プール用化学薬物による健康被害は予防可能であり、CDCのModel Aquatic Health Code (MAHC)はレクリエーション施設の運営者に予防に関する重要な指針となっている。

References

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