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MMWR抄訳

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2019/05/03Vol. 68 / No. 17

MMWR68(17):388-395
Drug Overdose Deaths Involving Cocaine and Psychostimulants with Abuse Potential — United States, 2003–2017

乱用の可能性があるコカインおよび精神刺激薬による薬物過量摂取死 ― アメリカ、2003年~2017年

CDCは2016年~2017年におけるコカインおよび精神刺激薬が関与する年齢補正死亡率の変化、および2003年~2017年における死亡率の傾向について分析した。2017年、アメリカでは薬物の過量摂取により70,237名が死亡し、うち13,942名(19.8%)がコカインによる死亡であり、死亡率は10万人あたり4.3、2016年(10,375名、死亡率3.2)から34.4%の増加であった。コカインによる死亡率は男女ともに増加し、15歳以上、非ヒスパニック系白人(白人)、非ヒスパニック系黒人(黒人)およびヒスパニック系にて増加し、15~24歳の女性における増加率がもっとも大きく[40.0%増、2016年:1.0(204名)、2017年:1.4(291名)]、絶対死亡率変化は25~44歳男性(2016年:8.3、2017年:11.0)および45~64歳男性(2016年:7.6、2017年:10.3)にて大きく、ともに10万人あたり2.7の増加であった。人種/民族別の死亡率は2017年、黒人にてもっとも高く(10万人あたり8.3)、2016年からの相対変化ももっとも大きかった(36.1%、2016年6.1)。都市部と地方では、絶対変化は中都市圏(2016年:3.2、2017年:4.5、10万人あたり1.3増)、相対変化は大都市圏(2016年:1.9、2017年:3.0、57.9%増)にてもっとも大きかった。州別ではコカインによる死亡率は15州にて増加、DCおよびオハイオ州にて高く(それぞれ10万人あたり17.6、14.0)、相対変化はウィスコンシン州(84.6%)、メリーランド州(72.0%)にて大きく、絶対変化はオハイオ州(3.9)、メリーランド州(3.6)にて大きかった。2003~2017年におけるコカイン関連死亡率は2006年にピークとなり、その後2012年まで減少したが、2013~2017年は再度増加している。2017年の精神刺激薬が関与した死亡は10,333名(薬物過量摂取死亡例の14.7%、2016年から37.0%増)、死亡率3.2であり、2016年(7,542名、死亡率2.4)からの死亡率の相対変化は33.3%増であった。精神刺激薬による死亡率は男女ともに増加し、15歳以上、白人、黒人、AI/AN、アジア系/大西洋諸国系、ヒスパニック系にて増加、相対変化は25~44歳の女性(48.0%)、絶対変化はAI/AN(10万人あたり1.6)にてもっとも大きかった。また、中都市圏では絶対および相対変化がもっとも大きく(それぞれ1.6%、46.4%)、国勢調査地域別では中西部にてもっとも大きかった(それぞれ1.2%、63.2%)。州別の死亡率は17州にて増加、ウェストバージニア州、アラスカ州にて高く(それぞれ10万人あたり13.6、9.1)、相対変化はオハイオ州(130.4%)、ウェストバージニア州(94.3%)、絶対変化はウェストバージニア州(6.6)、ケンタッキー州(3.3)にて大きかった。2003年~2017年における精神刺激薬に関連した死亡率は2010年まで増加し、2010年~2015年、2015年~2017年にかけて急激に増加していた。また、オピオイドが関与するコカイン、精神刺激薬関連死亡例はそれぞれ72.7%、50.4%を占めていた。コカイン、精神刺激薬およびオピオイドに関連する死亡に対処するにはサーベイランスの強化とエビデンスに基づく公衆衛生と公衆安全の包括的な介入が必要である。

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