ホームIMICライブラリMMWR抄訳2019年(Vol.68)高悪性度の子宮頸部病変と診断された女性の推定症例数・・・
2019/04/19Vol. 68 / No. 15
MMWR68(15):337-343
Estimated Number of Cases of High-Grade Cervical Lesions Diagnosed Among Women — United States, 2008 and 2016
ヒトパピローマウイルス(HPV)はアメリカにて毎年約30,000件の癌の原因となっており、女性の子宮頸癌がもっとも多い。HPV関連癌は通常、発症までに数十年を要するが、高悪性度の子宮頸部病変(子宮頸部上皮内腫瘍グレード2:CIN2、同グレード3:CIN3、上皮内腺癌:CIN2+)は感染後、数年以内に発症するため、HPVワクチンの効果のモニターに利用されている。今回、CDCは集団ベースのCIN2+サーベイランスシステムHuman Papillomavirus Vaccine Impact Monitoring Project(HPV-IMPCT)のデータを分析し、2008年~2016年の18歳以上の女性におけるCIN2+の割合について報告する。アメリカでは2006年にHPVワクチンが認可され、11歳または12歳の女児に対しHPVワクチンの定期接種と26歳までのキャッチアップ接種を推奨している。以前は2つのワクチンが使用されていたが、2015年に4価ワクチン (HPV 6、11、16、18)、2016年以降は9価 (4価+HPV 31、33、45、52、58)が追加されている。2016年におけるワクチン接種率は1回以上接種率が65.1%、3回接種率が43.0%であった。2008年~2016年、HPV-IMPACTにはCIN2+症例が計23,489例報告され、年齢別のCIN2+率は、2008年が20~24歳(女性10万人あたり559)、2016年では25~29歳(同480)がもっとも高く、2008年~2016年にかけては18~19歳、20~24歳ではCIN2+率が有意に減少し、40~64歳では有意に増加した。HPV-IMPCTのデータを基に推定したアメリカ全体でのCIN2+と診断された症例数は2008年が216,000例であり、年齢別では18~29歳が119,000例(55%)、30~39歳が57,000例(26%)、40歳以上が40,000例(18%)であった。このうち165,000例(76%)は9価ワクチンに含まれるウイルス型による症例であり[HPV16/18:111,000例(52%)、HPV 31/33/45/52/58: 54,000例(25%)]、年齢は18~29歳が91,000例(55%)、30~39歳が43,000例(26%)、40歳以上が31,000例(19%)であった。2016年の推定症例数は196,000例、18~29歳が71,000例(36%)、30~39歳が74,000例(38%)、40歳以上が51,000例(26%)であり、このうち150,000例(76%)が9価ワクチンに含まれるウイルス型による症例であり[HPV 16/18:84,000例(43%)、HPV 31/33/45/52/58:66,000例(34%)]、年齢は18~29歳が53,000例(35%)、30~39歳が57,000例(38%)、40歳以上が40,000例(27%)であった。また、18~24歳ではHPV 16/18によるCIN2+症例の割合が2008年52%、2016年30%と減少しており、ワクチン接種プログラムの影響が示唆された。
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