ホームIMICライブラリMMWR抄訳2019年(Vol.68)薬物注射をする人におけるカンジダ血流感染症 ― デ・・・
2019/03/29Vol. 68 / No. 12
MMWR68(12):285-288
Candida Bloodstream Infections Among Persons Who Inject Drugs — Denver Metropolitan Area, Colorado, 2017–2018
カンジダによって引き起こされる血流感染症であるカンジダ性敗血症は、通常、医療施設に関連する感染症と考えられており、中心静脈カテーテルの存在、完全非経口栄養法または広域抗生物質の使用、最近の腹部外科手術、集中治療室への入院、長期間の入院がリスクファクターとして知られている。注射薬物使用(IDU)は、常、カンジダ血症のリスクファクターではないが、オピオイド蔓延の進行とそれに伴うIDUの増加という状況で、IDUはカンジダ血症とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌菌血症に関連しよくみられる疾患として報告が増加している。一方、薬物を注射する人のカンジダ血症の疫学についてはほとんど知られていない。コロラド州公衆衛生環境局(CDPHE)は、CDCの新興感染症プログラム(EIP)を通じ、人口270万人を擁するデンバー首都圏地域における集団ベースのカンジダ血症サーベイランスを実施している。カンジダ血症サーベイランスの一環として、CDPHEは2017年5月から2018年8月の間にカンジダ陽性血液培養を有する人について、人口統計学的、臨床的、IDU行動情報を収集した。この期間に報告された203件のカンジダ血症例報告のうち、22例における23件(11%)にてカンジダ血症エピソードの前年にIDU歴があった。これら22例の平均年齢は37歳(21~59歳)で、14例(64%)が女性、18例(82%)が白人、4例(18%)がヒスパニック系/ラテン系であった。また、10例(45%)がC型肝炎感染症を有し、うち1例は慢性B型肝炎感染症、1例はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症も有していた。23件中、10件が地域発生の感染症、4件(17%)は最近の医療曝露後の地域発生の感染症と考えられた。22例の患者の7例(32%)は末端臓器機能不全を伴う播種性カンジダ症を呈し、4例(18%)は入院中に死亡した。診療記録に記載されている、またはカンジダ血症エピソードの6カ月間前以降の尿検査で同定された薬物には、オピオイド(18例;82%)、メタンフェタミン(16例;73%)、カンナビノイド(7例;2%)、コカイン(6例;27%)、ベンゾジアゼピン(4例;18%)、エクスタシー(MDMA)、バルビツレート(各1例) が含まれていた。6例の患者では入院中に薬物を注射、または使用の企図をみとめた。ヘルスケアで遭遇するIDUおよび危険な注射行為を減少させるための介入行為の機会により、カンジダ血症を含む感染症を予防する可能性がある。 薬物注射をする人のカンジダ血症を予防するには、地域社会および医療をベースにした両方の介入が必要である。
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