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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2019年(Vol.68)ヒト狂犬病 ― バージニア州、2017年

MMWR抄訳

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2019/01/04Vol. 67 / Nos. 51 & 52

MMWR67(51 & 52):1410-1414
Human Rabies — Virginia, 2017

ヒト狂犬病 ― バージニア州、2017年

2017年5月9日に、バージニア州保健局は狂犬病の疑いのある患者に関する通知を受けた。症例は65歳女性で、既存の健康問題はなかった。5月3日、ガーデニング中に右腕の疼痛および感覚異常が生じ、6日に外来を受診したが、手根管症候群と診断され、非ステロイド系抗炎症薬とヒドロコドンを処方された。7日に病院Aにて、息切れ、不安、不眠、水の飲み込みが困難であると評価されたが、特に異常な検査所見はなく、パニック発作の推定の下にロラゼパム0.75mgを投与され、退院した。車に乗り込んだところで、閉所恐怖症と息切れが出現したため、直ちに病院Aの救急部(ED)に戻り、さらに0.25 mgのロラゼパムを投与され、再び退院した。8日に、胸部不快感、息切れ、右肩および右腕の進行性感覚異常、不安の増大のため、患者は自宅から病院BのEDに搬送され、 診察時には興奮、頻脈、間欠的な過換気を示した。神経学的検査ではジスメトリア(運動失調症の一種)を認め、 臨床検査では、心筋逸脱酵素、血清トロポニンⅠ値、血清乳酸値の上昇が顕著であった。心電図では非典型的胸痛を伴う急性心虚血の所見を認めたが、心臓カテーテル検査では冠状動脈は正常であった。患者はさらに興奮し戦闘的になり、水を飲もうとするとあえぐようになった。病院スタッフが患者の家族に動物への接触を聞いてみたところ、患者は発症する約6週間前のインドを旅行し、子犬に右手を噛まれていたことが判明した。患者は傷を洗浄したが、それ以上の医療処置は受けておらず、旅行前の狂犬病の曝露前ワクチンを含め、狂犬病予防接種歴はなかった。9日の朝に患者は気管内挿管と人工呼吸を要し、脳波検査から重症脳症が示唆された。ヒト狂犬病に対する懸念を考慮して、患者はケタミンとミダゾラムで鎮静され、バージニア州保健局に通知された。狂犬病の曝露後予防接種(PEP)は、症状発症後の適応ではなく、無効なので投与されなかった。患者の脳脊髄液、血清、唾液、項部皮膚生検標本を採取し、10日に狂犬病検査のためにCDCに提出した。11日に、CDCは、患者の唾液と皮膚生検検体のリアルタイムRT-PCR法および皮膚生検の直接蛍光抗体検査により狂犬病を確認し、ウイルスのシーケンシング法により、インドのイヌに関連したイヌ狂犬病ウイルス変異体が同定された。21日に家族はそれ以上の医療措置を諦め、患者はまもなく死亡し、死体解剖の脳組織から狂犬病ウイルスが同定された。2008年以降のアメリカにおいて、海外での狂犬病曝露による死亡は9例目であった。地域の公衆衛生調査では、合計で250人の医療従事者の患者への曝露について調査され、そのうち72人(29%)がPEPの開始を勧められ、PEP(狂犬病免疫グロブリンおよび狂犬病ワクチン)の総医薬品費は約235,000ドルであった。また、患者の居住していた共同生活施設の居住者で、患者との密接な接触があり曝露基準を満たした4人に対し、PEP開始が助言された。今回の症例から、ヘルスケア関連の曝露を最小限にするために、迅速な狂犬病の診断の重要性が明らかになった。海外旅行をする人は、推奨される予防接種および予防対策を含む旅行前のガイダンスを探すべきである。

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