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MMWR抄訳

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2018/12/14Vol. 67 / No. 49

MMWR67(49):1358-1362
Unresolved Splenomegaly in Recently Resettled Congolese Refugees — Multiple States, 2015–2018

最近になって再定住したコンゴ人難民における寛解していない脾腫 ― 複数州、2015年~2018年

2014年、ウガンダの難民再定住地でアメリカに向かう難民に対する州の部門で必要な出発前検査を実施する国際移住機構(International Organization for Migration、IOM)の医師団は、肥大化した脾臓または脾腫を有するコンゴ人難民数が異常に多いことに気付いた。様々な感染症、肝臓疾患、癌など、多くの状態が、脾腫の原因となり、また、脾腫は血液障害および腹痛をもたらし、鈍的外傷による脾破裂のリスクを高め、生命を脅かす内出血を引き起こす可能性がある。CDCの助言で、医師団は強化されたサーベイランスおよび治療プロトコールを実施し、これには、マラリア(厚層または薄層塗抹標本と迅速診断試験)、住血吸虫症および他の症状のスクリーニング、潜在的に脾腫に関連すると同定された症状の治療、マラリアおよび住血吸虫症を含む最も可能性の高い病因についての経験的治療が含まれた。全体として、2015年4月から2017年5月の間に9つの州内に再定住した脾腫を有する135例のコンゴ人難民が特定され、90例の患者(66.6%)は 22家族に集中していた。到着後の医療記録は117例(87%)が入手可能で、海外で診断を受けた患者が96例(IOMによってプロスペクティブに同定されたオリジナルコホートから86例、国内の医師によるレトロスペクティブな医療記録のレビューにより同定された10例)、国内で診断を受けた患者が21例であった。到着後の検査では、海外で診断を受けた96例中64例(66.7%)が脾腫を有し、国内で診断を受けた21例を合わせ、合計で85例の患者が到着後に脾腫を有していた。CDCは、肝臓ステージの寄生虫を標的に、グルコース-6-リン酸脱水素酵素の検査後に、プリマキンによる追加のマラリア治療を推奨した。この推奨された治療プロトコールにもかかわらず、利用可能な追跡記録を有する64例の患者のうち35例が、再定住後6カ月以上持続した脾腫を有していた。脾腫と診断された85例の患者のうち、53例に血液学的異常(白血球減少、貧血、血小板減少)があった。試験結果が利用可能な症例では、肝臓酵素およびアルカリホスファターゼの上昇は、それぞれ55例中11例(20.0%)、58例中31例(53.5%)で認めた。 到着後に血液塗抹検査によるマラリアのスクリーニングを実施した46例の患者のうち、6例(13.0%)がスメア陽性であった。 Schistosoma免疫グロブリンGの結果が利用可能な脾腫の患者30例のうち、15例(50.0%)で、以前の感染のエビデンスが示され、Schistosoma免疫グロブリンG陽性で好酸球数の結果が利用可能な13例のうち、8例(61.5%)が好酸球増加症を有していた。すべての脾腫を有する適格なコンゴ人難民に対し、プリマキンによる治療を行い、密接に追跡し、治療に反応しない場合は特殊な治療を紹介する必要があり、脾腫の患者の家族に対しては、積極的に脾腫のスクリーニングを実施すべきである。

References

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