ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)ポリオ根絶への進歩 ― パキスタン、2017年1月・・・
2018/11/09Vol. 67 / No. 44
MMWR67(44):1242-1245
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Pakistan, January 2017–September 2018
現在、野生型ポリオウイルス(WPV)3種類のうち、2012年以降の環境サーベイランスにて検出されているのは1型(WPV1)のみであり、パキスタンはWPV1の伝播が継続する3カ国のうちの1つである。今回、2017年1月~2018年9月におけるパキスタンでのポリオ根絶への活動と進捗状況を報告する。WHOおよびUNICEFによる2017年の経口ポリオワクチン3回接種率(OPV3)は1歳児にて75%であり、前年と同等であった。地域別ではアザドカシミール(95%)、イスラマバード(91%)にて高く、バロチスタン(35%)、ハイバル・パフトゥンハー部族地帯(KP-TD;50%)にて低かった。この期間、環境サーベイランスおよび急性弛緩性麻痺(AFP)症例からのWPV1に応じ行われた35回の小規模な追加接種活動(SIA)に加え、9回の全国SIA、8回の地方SIAが行われ、2回のSIAにて静注不活化ポリオワクチン(IPV)が2価OPVと併用され、バロチスタン、KP-TDおよびカラチにて2017年は3,081,900名、2018年は1,287,835名を対象に接種された。2017年1月~12月において、すべての州にて15歳未満の小児10万人あたりの非ポリオAFP(NPAFP)症例が2名を超え、80%にて適切に検体が採取された。2017年1月~2018年9月におけるNPAFP率は12.9(11.5~24.1)であり、89%(87~95%)にて適切な検体採取が行われた。環境サーベイランスは59カ所にて行われ、うち39カ所(66%)にて2016年1月~2018年9月の間、毎月サンプルが採取された。WPV1陽性率は2016年が60検体(13%)、2017年が89検体(19%)、2018年が53検体(17%)とほぼ変化なく、主にカラチ、クエッタ地区、ペシャワールにて検出された。2017年におけるWPV1症例は8例(KP-TD、ギルギットバルチスタン州、パンジャブ州:各1例、シンド州:2例、バロチスタン州:3例)報告されており、2016年の20例(KP-TD:8、シンド州:8、FATA:2、バロチスタン州:2)から60%減少した。2017年1月~2018年9月に報告された12例の年齢は4カ月~38カ月齢、全例、SIAにてOPVが接種されており(3~7回超)、1例はOPVを3回、IPVを1回接種されていた。WPV1の伝播を阻止するには、アフガニスタンとの国境付近における予防接種およびサーベイランスの質を向上させることが重要であると思われる。
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