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MMWR抄訳

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2018/11/02Vol. 67 / No. 43

MMWR67(43):1211-1215
Violence Victimization, Substance Use, and Suicide Risk Among Sexual Minority High School Students — United States, 2015–2017

性的少数派の高校生における暴行被害、物質使用、自殺リスク ― アメリカ、2015年~2017年

非異性愛者のアイデンティティを認識している青少年(性的少数派の青少年)は、異性愛者の青少年よりも暴行被害、物質使用、自殺リスクが高いことが報告されている。これらの格差は、少数派のストレス(性的少数派に向けられた偏見が健康転帰に影響を及ぼす過程)に起因するのが一般的である。性的少数派の青少年は、性的アイデンティティを超えた別の少数派のストレスに関連する負の転帰を経験する可能性があるが、現在までに性的少数派の青少年における被害、物質使用、自殺のリスクの相違についての全国的な研究は実施されていない。 2015年と2017年の全国的なYouth Risk Behavior Surveysに蓄積されたデータを使用し、性的アイデンティティグループと被害、物質使用、自殺リスクの関係を性的-層別ロジスティック回帰モデルにより評価した。異性愛者の女子と比較して、両性愛者の女子は、通学中の安全ではない感覚、武器による脅迫/負傷、性行為を強制された経験、デート中の性的あるいは身体的暴行、学校でのいじめ、インターネットによるいじめを答える割合が高かった。両性愛者の女子はレズビアンよりもデート中の性的暴行を報告する可能性が高く、レズビアンおよび性的アイデンティティが不明の女子よりも、強制的な性行為、学校でのいじめ、インターネットによるいじめを経験する可能性が高い。ゲイ、両性愛者、性的アイデンティティが不明な男子は異性愛者の男子よりも、暴行被害の7つの指標すべてで発生率が高い可能性があった。異性愛者の女子と比較して、レズビアンおよび両性愛者の女子では、たばこ、アルコール、マリファナの使用率がそれぞれ高かった。また、男子生徒では、異性愛者と比較して、両性愛者でたばこの使用率が増加した。異性愛者と比較してすべての性的少数者では、コカイン、ヘロイン、メタンフェタミン、エクスタシー、吸入剤の報告された使用率が増加し、自殺企図をはじめとする自殺リスクが上昇した。さらに、性的アイデンティティと自殺企図との関連は、男性で女性よりも強力であった。性的アイデンティティにより、暴行被害、物質使用、自殺リスクの経験が異なることを考慮することは、介入の情報提供に役立つ可能性がある。

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