ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)狂犬病に感染した野良猫がノースカロライナ州からオハ・・・
2018/10/26Vol. 67 / No. 42
MMWR67(42):1174-1177
Translocation of a Stray Cat Infected with Rabies from North Carolina to a Terrestrial Rabies-Free County in Ohio, 2017
2017年7月24日、サミット郡の飼い猫が狂犬病検査陽性であったとOhio Department of Health(ODH)に報告された。アライグマ狂犬病ウイルス変異株(RVV)が西方へ拡散するのを防ぐため、オハイオ州とペンシルベニア州の州境に毎年、アライグマの経口狂犬病ワクチン(ORV)を入れた餌が設置されている。RVVは東部の州(フロリダ~メイン州)とオハイオ州北東部の郡に認められており、狂犬病陽性の猫(ネコA)はこのORVバリアの西側、サーベイランス強化地域にいた。ODHはウイルスの潜伏期間に狂犬病の猫に曝露した人間および動物の調査を開始し、CDCとともにウイルスの起源についての調査も行った。成人2名のカップルがノースカロライナ州で野良猫(ネコAを含む)をペットにして共に暮らしていた。2017年2月、2名は犬2匹と猫13匹(ネコAを含む)と一緒にノースカロライナ州からアラスカ州へ移動をした。17日にアーカンソー州を出発し、21日、家族が住むオハイオ州サミット郡に到着し仮住まいをした。猫は5月3日までガレージにて、外に出ることなく過ごしたが他の哺乳動物との接触はあったかは不明だった。この間にネコAともう1匹の猫が出産した。出産数は不明で、数匹が死亡したが原因は不明であり、世話をしきれないため4月28日~5月3日、サミット郡の非営利団体にネコAとその子猫4匹を含む15匹の猫を引き渡した。狂犬病ワクチンは卵巣摘出/去勢時に接種するため、ネコAには接種されなかった。ネコAと子猫4匹は5月5日~7月11日、仮設の施設にて離乳まで過ごしたが、ネコAは上部気道感染症のため5月24日、6月1日および9日に獣医が診察、7月8日に発声の異常を指摘されたが、11日に団体の施設に戻された。7月18日、ネコAは異常行動(呼吸過多、興奮、口呼吸、後肢運動失調)を来し、治療するも急速に増悪したため、安楽死させた。7月24日、狂犬病検査陽性と診断されたため、ODHはネコAと接触した人間のリスク評価を行った。接触した可能性のある29名のうち、26名(90%)を評価した結果、3名の団体スタッフと仮設の施設にて世話をしていた1名に曝露後予防が推奨された。ネコAを除く14匹の猫は12世帯に引き取られるか、一時的に保護された。ネコAの子猫はグルーミングや育児行動においてネコAの唾液と接触した可能性があり、他の10匹も潜伏期間にガレージで一緒に生活していたため、曝露の可能性があると考えられた。14匹のうち6匹は若すぎるため、引き取られる前に狂犬病ワクチンを接種しておらず、オーナーに適切な時期に接種するよう助言した。また、2011年のCompendium of Animal Rabies Prevention and Controlに従って猫はすべて6カ月間、厳重な検疫を受け、2018年5月7日の時点でこれらの動物に関連する狂犬病の症例は認めていない。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.