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MMWR抄訳

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2018/10/26Vol. 67 / No. 42

MMWR67(42):1169-1173
Influenza A(H3N2) Variant Virus Outbreak at Three Fairs — Maryland, 2017

3つのフェアにおけるインフルエンザA(H3N2)変異株ウイルスのアウトブレイク ― メリーランド州、2017年

2017年9月17日、Maryland Department of Agriculture(MDA)に9月14日~17日に開催された農業フェアAにて病気のブタがいるとの報告があり、107頭のブタを検査した結果、5頭に発熱と上気道感染の症状を認めた。5頭の呼吸器検体の検査では、すべての検体がインフルエンザA陽性を示し、U.S. Department of Agriculture National Veterinary Services Laboratory(NVSL)にてインフルエンザA(H3N2)ウイルスと確認された。翌18日、フェアおよび4-H職員からブタの出展者も病気であるとの報告があり、MDAは州保健省(MDH)へ警告するとともに、地元の保健局との共同調査を開始、農業フェアB(9月13日~17日)およびフェアC(9月15日~23日)も対象とした。公衆衛生および農業省の職員がフェアおよび4-Hクラブの責任者、ブタの出展者と会見し、フェアAに関連する8例を特定、鼻咽頭(NP)検体を採取し、9月20日、RT-PCR法にて7例のA(H3N2)変異株ウイルス陽性が確認された。9月21日、フェアBでブタに曝露した症例(デラウエア州在住)の検体が採取、検査されたが、フェアBでは病気のブタは認められず、ブタのインフルエンザ検査は行われなかった。フェアCでは9月23日、294頭のブタのうち11頭に発熱と上気道感染の症状を認め、MDAの検査ではすべての検体がA(H3N2)陽性であり、NVSLの検査で確認された。インフルエンザ様疾患はフェア参加者のうち計80例に確認され、76例がインフルエンザ検査を受け、40例(52.6%)がA(H3N2)vウイルス陽性と仮判定された。電話によるインタビューの結果、症例は3つのフェアのいずれかに参加しており(フェアA:15例、B:1例、C:24例)、男性が52.5%、年齢は9カ月齢~79歳、37例(92.5%)が15歳未満であった。30例(75%)はインフルエンザによる合併症のリスクが高く(5歳未満:24例、65歳以上:1例、慢性疾患:6例)、26例(65%)は直接ブタと接触しており、14例(35%)は間接的な接触のみであった。ブタと接触してから症状が発症するまでの潜伏期間中央値は2.5(1~6)日間、症状は発熱(92.5%)、咳(92.5%)、喉の痛み(40%)が多く、小児2例が入院したが、死亡例はなかった。フェアのブタと症例から検出されたウイルスは各遺伝子セグメントにて高い類似性を示し(99%超)、2017年に他の州にて検出されたブタの変異ウイルスと同様であった。その後、MDAはフェアAでは市場に出たブタの屠殺を許可し、その他は最後のブタは症状を呈した7日後まで隔離、フェアCではブタを出展者に戻し、発病したブタは監視を強化、一般への展示を閉鎖した。インフルエンザ合併症リスクが高い場合は家畜との接触を避け、また、1つのフェアで豚インフルエンザウイルスが検出された場合は、その地域で開催されるフェアはすべてサーベイランスを強化すべきである。

References

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