ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)マーシャル人のコミュニティにおける流行性耳下腺炎の・・・
2018/10/19Vol. 67 / No. 41
MMWR67(41):1143-1146
Mumps Outbreak in a Marshallese Community — Denver Metropolitan Area, Colorado, 2016–2017
2017年1月、Colorado Department of Public Health and Environment(CDPHE)は、デンバー都市圏の同じ教会(教会A)の教会員であったマーシャル人コミュニティの人において疫学的に関連のある流行性耳下腺炎の4症例を特定した。2016年~2017年にアーカンソー州、ハワイ州、ワシントン州で報告された大規模なアウトブレイクも、マーシャル人住民に影響を及ぼした。CDPHE、Tri-County Health Department(TCHD)、デンバー公衆衛生局は共同で2017年1月~3月のアウトブレイク調査を実施した。1月20日~22日にTCHDのスタッフは、積極的なサーベイランスにより迅速な症例確認を開始するために教会Aの指導者と会い、指導者は教会Aの会員世帯のリストを提供することに同意した。地域および州の公衆衛生職員は、各家庭に電話で最大3回まで連絡をとり、人口統計、報告されたMMRワクチン接種歴、流行性耳下腺炎症状の発生とタイミング、旅行歴、世帯訪問者、2016年11月1日以降の教会出席をはじめとする情報を収集した。また、症例は、コロラド州電子疾患報告システムにおける流行性耳下腺炎の陽性検査結果の検査室報告書または医療提供者報告書のいずれかからの受動的サーベイランスによっても同定された。合計で、47例のアウトブレイク症例(17例が確定例、30例が高度疑い例)が特定され、男性は24例(51%)、年齢中央値は20歳(4カ月~44歳)、マーシャル人は46例(98%)、発症日は2016年11月1日から2017年3月28日であった。発症したすべての患者に耳下腺炎が現れ、22例(47%)が両側腫脹、顎の痛み(74%)、倦怠感(62%)、発熱(57%)、顎下腺腫脹(47%)の症状もあった。20歳の妊婦1例が入院したが、死亡または重症合併症(精巣炎、髄膜炎、難聴など)は報告されなかった。患者は21世帯から同定され、15世帯(71%)に複数の症例(2~4例)がいた。症例は地理的にも密集しており、98%の症例は半径7.5マイル以内に居住していた。確定例17例のすべてがRT-PCR法検査でムンプスウイルス陽性であった。確定例の12例のムンプスウイルス遺伝子型は、すべてが現在流行中の最も一般的なG型であった。公衆衛生活動には、地元のマーシャル人教会での麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチン接種クリニックの実施が含まれ、これらの結果、126例がMMRワクチンを1回以上接種した。ワクチン接種クリニックに加えて、地元の公衆衛生当局は流行性耳下腺炎の疾患や予防に関する文化的に敏感なメッセージをマーシャル教会の指導者、ラジオ、ソーシャルメディアを通じて発信した。CDPHEは、流行性耳下腺炎について公衆に警告するために2回のプレスリリースを発表した。地域の公衆衛生職員は、デンバー都市圏の影響を受けた学校区に連絡を取り、Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)ガイドラインに従いMMRワクチン接種の記録が2回以内の児童にキャッチアップワクチン接種を推奨する手紙を両親に送った。アウトブレイクは、最後に報告された症例の50日後(潜伏期間の2倍)の2017年5月17日に終息が宣言された。予防接種プログラムの推進における地元のマーシャル教会の指導者からの積極的なサーベイランスと支援の実施は、アウトブレイクの途絶に寄与した可能性が高い。対象となるすべての小児は、12~15カ月、4~6歳にMMRワクチンを受ける必要がある。流行性耳下腺炎のアウトブレイク中では、対象者はACIPのガイドラインに従って、必要に応じて3回目の接種を含む、迅速なMMRワクチン接種を受けるべきである。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.