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MMWR抄訳

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2018/10/19Vol. 67 / No. 41

MMWR67(41):1137-1142
West Nile Virus and Other Nationally Notifiable Arboviral Diseases — United States, 2017

ウエストナイルウイルスと国に届け出義務のある他のアルボウイルス疾患 ― アメリカ、2017年

節足動物媒介性ウイルス(アルボウイルス)は、感染した蚊またはダニの咬傷によるものが主となってヒトに伝染し、ウエストナイルウイルス(WNV)はアメリカ本土における後天的なアルボウイルス疾患の主要な原因である。また、ジェームスタウンキャニオン、ラクロスウイルス、ポワッサンウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルスなどの他のアルボウイルスは、散発的な疾患の発症やアウトブレイクを引き起こすことがある。今回、2017年にアメリカの州からCDCへ報告された国の届け出義務のあるアルボウイルスのサーベイランスデータをまとめた。デング熱、チクングンヤ熱、ジカウイルスの各ウイルスは、アメリカ大陸では、通常、旅行を介して感染するため、今回の報告からは除外した。2017年には、国内のアルボウイルス疾患2,291例がCDCへ報告され、1,596例(70%)は神経浸潤性であった。症例の起因ウイルスは、WNV(2,097例、92%)、ジェームスタウンキャニオン(75例)、ラクロス(63例)、ポワッサン(34例)、セントルイス脳炎(11例)、特定できないカリフォルニア血清型(6例)、東部ウマ脳炎(5例)であった。アラスカ州およびハワイ州からの報告はなかった。アメリカ本土3,007郡のうち、722郡(24%)にてアルボウイルス疾患症例が報告され、47州の641郡とワシントンDCから2,097例のWNV疾患が報告された。そのうち1,425例(68%)が神経浸潤性であり、7~9月に発症した患者は1,814例(87%)であった。患者の年齢中央値は59歳で(四分位範囲:46~69歳)、1,301例(62%)が男性であった。合計で1,545例(74%)の患者が入院し、146例(7%、年齢中央値77歳)が死亡した。WNVの神経浸潤性疾患の1,425例のうち、脳炎は714例(50%)、髄膜炎は530例(37%)、急性弛緩性麻痺は89例(6%)、他の神経疾患は92例(6%)であった。急性弛緩性麻痺を呈した89例の患者のうち、34例(38%)は脳炎または髄膜炎も有していた。神経浸潤性疾患患者のうち1,346例(94%)が入院し、146例(10%)が死亡した。アメリカにおける神経浸潤性疾患の割合は10万人あたり0.44例で、サウスダコタ州(10万人あたり3.1例)、ノースダコタ州(同2.65例)、ミシシッピ州(同1.54例)、アリゾナ州(同1.40例)、ユタ州(同1.26例)にて高く、症例数はカリフォルニア州(401例)、アリゾナ州(98例)、テキサス州(87例)、イリノイ州(72例)で全体の46%を占めた。WNV神経浸潤性疾患の割合は、年齢とともに多くなり、10歳未満の小児では10万人あたり0.02例であったが、70歳以上の成人では1.28例であった。2017年のジェームスタウンキャニオンウイルスとポワッサンウイルスの症例は前年よりも増加し、それぞれ8州および10州から報告された。医療従事者は無菌性髄膜炎および脳炎の鑑別診断において、アルボウイルス感染症を考慮する必要があり、臨床検査のための適切な検体を入手し、迅速に症例を公衆衛生当局に報告する必要がある。

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