ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)カット済みのココナッツに関連したSalmonell・・・
2018/10/05Vol. 67 / No. 39
MMWR67(39):1098-1100
Outbreak of Salmonella Chailey Infections Linked To Precut Coconut Pieces — United States and Canada, 2017
食品媒介性サルモネラ症は、アメリカでの毎年100万人の罹患と400人の死亡の原因となっている。近年、サルモネラ症のアウトブレイクは、サルモネラ菌に通常は関連しない食品によって引き起こされている。2017年5月2日に、食品媒介疾患監視のためのCDCの全国的な分子サブタイプネットワークであるPulseNetが、珍しいパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターンを有する14例のSalmonella Chailey分離株のクラスターを同定した。5月29日には、カナダの保健当局も、ブリティッシュコロンビア州にて同じPFGEパターンを有する5例のSalmonella Chailey感染クラスターを調査していることをCDCに通知し、合計で19例が特定された[アメリカの7州で14例:コロラド州とカンザス州で各1例、オレゴン州、ペンシルベニア州、ユタ州、ワシントン州で各2例、テキサス州で4例、カナダのブリティッシュコロンビア州で5例]。感染者の年齢は1歳未満~87歳(中央値57歳)、5歳未満が2例、9例が女性、発症日は2017年3月10日~5月7日であった。入院に関する情報があった17例のうち3例が入院し、死亡例はなかった。全ゲノム配列決定(WGS)では、全例の分離株に高い関連性をみとめた。最初のインタビュー調査では、感染者は様々な生鮮食品を摂取し、食料品店チェーン店Aで購入したことが明らかになり、その後の焦点を絞ったアンケートにより、食料品店チェーン店Aのカット済みココナッツを共通の媒体として特定した。カナダ当局は食料品店チェーン店Aの店舗を査察し、真空冷凍パックのココナッツが1日おきに店に入庫していたと報告した。これらは店舗で解凍され、販売用に製造エリアで小さなプラスチック製容器に再包装され、5日間の消費期限が適用された。FDAは、この製品の輸入および再包装に関連してアメリカに拠点を置き、FDAの規制を受けた3社を訪問したが、好ましくない状況は特定できなかった。カナダ食品検査機関(CFIA)とFDAは、食料品チェーン店Aでカット売りされたココナッツを消費したアメリカとカナダの9名に対して、トレースバック調査を実施した。これらの店舗では、同じアメリカの会社の冷凍されたカット済みココナッツを、3州に所在する3カ所の流通センターから製品が配送されていた。FDAとCFIAが食料品店チェーン店Aの店舗、流通センター、処理業者から収集した記録から、インドネシアから輸入された冷凍のカット済みココナッツの単一ロットがアウトブレイク源であることが示唆された。FDAは処理向上および流通センターの環境およびココナッツのサンプルを検査したが、Salmonellaは検出されず、疑われたロットのココナッツは検査できなかった。疫学調査の結果に基づいて、食料品チェーン店Aは自発的に、トレースバック調査で特定されたロットのカット済みココナッツすべてを含む、解凍したカット済みココナッツを店舗棚から撤去した。解凍したカット済みココナッツの消費期限が5日間であることから、汚染したカット済みココナッツを購入、または消費者の家にある可能性は低いことから、公的な通告は発行されなかった。以上、生鮮食品の消費者におけるSalmonellaのアウトブレイク調査では、生のココナッツも考慮すべきである。
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