ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)ポリオ撲滅への進歩 ― アフガニスタン、2017年・・・
2018/08/03Vol. 67 / No. 30
MMWR67(30):833-837
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Afghanistan, January 2017–May 2018
2017年1月~2018年5月、アフガニスタンにおけるポリオ撲滅活動の進歩および問題点について報告する。アフガニスタンの12カ月齢未満の乳児における経口ポリウイルスワクチン(OPV)3回接種(OPV3)の推定接種率は2015年、2016年ともに60%であり、生後6~23カ月の非ポリオ急性弛緩性麻痺(NPAFP)症例のOPV3接種率は2016年67%、2017年68%であったが、地域差が大きく、中央部のKapisa州およびPanjsher州では100%、南部のHelmand州およびZabul州ではそれぞれ24%、9%であった。定期接種および追加接種活動(SIAs)にてOPVを1回も接種していない6~23カ月齢のNPAFP患者は、全国では2016年~2017年にて1%未満であるが、南部のZabul州が9%、Kandahar州が4%、東部のKunar州が8%、南東部のPakita州が7%と報告されている。2017年1月~2018年5月、5歳未満の小児を対象とした1価OPVまたは2価OPVによるSIAsは全国予防接種デー(NID)6回、地方予防接種デー9回、mop-up SIA 1回が行われ、また、伝播リスクの高い地域またはSIAへのアクセスが困難な地域に住む4~59カ月齢の小児1,248,749名を対象に静注不活化ポリオワクチン(IPV)が投与された。NIDsは9,999,227名の小児を対象としたが、2017年9月は3.6%、2018年3月は2.9%、2018年5月は9.9%の小児が接種を逃した。主要な移動ルートのアクセスが困難な地域からの中継地点やパキスタン、イランとの国境地域では10歳未満の小児を対象にOPVが接種され、中継地点では約570万人、国境地域では2017年は83万人、2018年は34万人が接種を受けた。AFPサーベイランスでは2017年、15歳未満におけるNPAFP発症率は10万人あたり15.3(州別では11.4~20.4)、便検体の回収率は93.5%(同87.5~96.9%)であり、2017年1月~2018年5月ではそれぞれ12%、91%であった。また、2017年のWPV1症例は5州から14例報告され(Kandahar州:7例、Nangarhar州:3例、Helmand州:2例、Zabul州:1例、Kunduz州:1例)、8例は2018年1~5月の報告例であり(前年同時期:4例)、報告のあった地区数は、2016年が4、2017年が9へと増加した。2018年6月29日の時点でさらに8例報告され、計22例となり、うち17例(77%)は36カ月齢未満、9例(41%)はOPV未接種、2例(9)は)は1または2回、11例(50)は)は3回以上接種であった。また、ウイルスのゲノム配列解析ではパキスタンからの伝播の持続が示された。今後も危険地域の小児へのアクセス、予防接種活動の質の改善、パキスタンとの協力などを進めることが重要である。
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