慢性閉塞性肺疾患における郡および州での都市と農村との違い ― アメリカ、2015年

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MMWR抄訳

2018/02/23Vol. 67 / No. 7

MMWR67(7):205－211
Urban-Rural County and State Differences in Chronic Obstructive Pulmonary Disease — United States, 2015

慢性閉塞性肺疾患における郡および州での都市と農村との違い ― アメリカ、2015年

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は慢性下部呼吸器疾患による死亡の大半を占め、2015年および2016年のアメリカの主要死亡原因のそれぞれ3位と4位であった。主なリスク要因には、タバコ曝露、職業上および環境曝露、呼吸器感染症、遺伝などがある。COPD転帰における州による変動は、COPDが広大な農村地域を有する州に多く発生する可能性があることを示唆している。群レベルでのCOPD罹患率、入院、死亡における都市と農村間の変動の推定値を調査し、COPD評価の州レベルでの変動を更新するために、CDCはBehavioral Risk Factor Surveillance System、メディケア病院記録、National Vital Statistics Systemからの死亡証明書を分析した。2015年には、18歳以上の約1550万人の成人(未調整の罹患率=6.3％、年齢で調整した罹患率=5.9％）がCOPDと診断されたと自己申告し、郡レベルのCOPD罹患率の推定値の範囲は、3.2％から15.6％であった。郡レベルの推定値の最高位の四分位群(8.5％～15.6％)に属する郡は、アラバマ州、アリゾナ州、アーカンソー州、ジョージア州、ケンタッキー州、メイン州、ミシガン州、ミズーリ州、オハイオ州、オクラホマ州、テネシー州、ウェストバージニア州の非都市地域に位置する傾向があった。 18歳以上の成人における診断されたCOPDの年齢により調整された罹患率は都会ではないほど多く、大都市圏中心部に住む人口の4.7％から農村地域に住む成人の8.2％まで増加した。COPDのための65歳以上のメディケア加入者1000人あたりの入院率は、大都市圏中心部では11.4人、農村地域では13.8人であった。人口10万人あたりの年齢により調整したCOPDが原因の死亡率は、都会ではないほど増加し、大都市圏中心部の32.0人から農村地域の54.5人まで増加した。3つの独立したデータシステムの測定において、農村地域に住む成人のCOPD推定値が小都市地域または都市地域に住む人よりも有意に高いという一致したパターンを示した。2015年では、アメリカの居住者全体の5.9％が農村地域の郡に暮らしており、州別の農村地域の居住者の割合は、0％(コネチカット州、デラウェア州、ニュージャージー州、ロードアイランド州)～34.7％(モンタナ州)であった。2015年の18歳以上の成人における州別のCOPDの年齢により調整した罹患率は、3.8％(ユタ州)～12.0％(ウェストバージニア州)であった。 65歳以上のメディケア加入者1000人あたりの州別の年齢により調整した入院率は、3.7人(ユタ州)～19.7人(ウェストバージニア州)であった。 2015年の州別の年齢により調整した人口10万人あたりの死亡率は、15.8人(ハワイ州)～64.3人(オクラホマ州)であった。2015年の3つの測定すべてで最高位の四分位群にあった7州のうち、4州(アーカンソー州、ケンタッキー州、ミシシッピ州、ウェストバージニア州)では、農村部住民の割合も最高位の四分位群(18％以上)に属していた。COPDのリスク要因を予防し、早期診断の障壁の克服および適切な治療と管理を行うためには、さらなる努力が必要である。このようなヘルスケアへのアクセスの改善は、QOLを改善するとともに、COPD患者の再入院を減らし、COPD死亡率を減少させる可能性がある。

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