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MMWR抄訳

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2018/02/02Vol. 67 / No. 4

MMWR67(4):131-134
Outbreak of Seoul Virus Among Rats and Rat Owners — United States and Canada, 2017

ラットおよびラットの飼育者におけるソウルウイルスのアウトブレイク ― アメリカおよびカナダ、2017年

2016年12月、Wisconsin Department of health Services(WDHS)はCDCに発熱、白血球減少、トランスアミナーゼ上昇およびタンパク尿により入院した症例を報告した。この症例は自宅にてペット用のNorwayラット約100匹を商業飼育しており、約4週後、この症例の家族が同様の症状を発症(入院なし)、2例ともげっ歯類との接触があったことからハンタウイルス感染の検査を行い、2017年1月、CDCは急性ソウルウイルス感染であることを確定した。これを受けてCDCとWDHSはラットの出荷元(trace-back)および出荷先(trace-forward)の調査を行い、2017年3月16日、感染が疑われる施設を21の州にて約100施設確定し、このうち11州(コロラド、ジョージア、アイオワ、イリノイ、ミネソタ、ミズーリ、ペンシルベニア、サウスカロライナ、テネシー、ユタおよびウイスコンシン州)の31施設にて研究室の検査でヒトまたはラットへの感染が確認された。また、6州(ジョージア、イリノイ、ミズーリ、サウスカロライナ、テネシーおよびユタ州)の6施設は調査期間中にカナダの施設とラットを取引していた。アメリカにて163名、カナダにて20名が血清学的検査を承諾し、うちそれぞれ17名(10.4%)、1名(5.0%)にてIgMおよびIgG抗体が検出され(最近の感染例)、それぞれ4名(2.5%)、2名(10.0%)にてIgG抗体のみを検出した(過去の感染例または回復期)。アメリカの最近の感染例17例のうち、8例は発熱性疾患を来し、3例が入院、腎症候性出血熱の発症例はなく、全例が回復した。カナダでは重症例はなかった。ヌクレオチド配列はアメリカおよびカナダで検出されたすべての株で一致し、単一株によるアウトブレイクであることが示唆されたが、感染源となった施設は確定していない。CDCは1月24日、Health Alert Noticeを保健省および医療関係者に通知し、保健省は感染が疑われる施設および確認された施設を検疫下に置き、ラットの流通を禁止した。感染が確認された施設に対しては、ラットの殺処分を推奨し、不可能な場合はラットの隔離または検査および間引き処分により感染ラットを排除するよう指導している。医療関係者はラットとの接触がある場合、ソウルウイルス感染症を疑い、また、ペットとしてラットを飼う人はソウルウイルス感染を認識し、感染予防のため手の消毒と安全な取り扱いを行うべきである。

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