ホームIMICライブラリMMWR抄訳2018年(Vol.67)総合噴霧剤による急性疾患および損傷 ― 10州、2・・・
2018/02/02Vol. 67 / No. 4
MMWR67(4):125-130
Acute Illnesses and Injuries Related to Total Release Foggers — 10 States, 2007–2015
総合噴霧剤(Total release foggers:TRFs、通称:bug bomb)は室内にて害虫を駆除する殺虫剤である。Environmental Protection AgencyはTRFsに急性疾患を引き起こすリスクがあると報告された後、2012年9月以降に生産されるTRFsの表示を改定するよう指示している。今回、表示変更の影響を、2007~2015年におけるTRFsに関連する急性疾患の評価により分析した。この期間、Sentinel Event Notification System for Occupational Risk Pesticides (SENSOR)プログラム、California Department of Pesticide Regulation (CDPR)プログラムおよびフロリダ州、テキサス州、ワシントン州のPoison Control Centers (PCCs)より、急性疾患例が計3,573例確認された(SENSOR/CDPR:1,843例、PCCs:1,730例)。このうち351例はSENSORプログラムとPCCsに重複しており、分析対象は3,222例とした。2007~2012年、2013年、2014~2015年におけるTRFs関連急性疾患の発症率(10万人あたり)はそれぞれ27.0、26.3、29.5であり、2007~2012年の発症率から有意な変動は認めなかった。年齢別では0~5歳:5.4%、6~12歳:4.4%、13~17歳:2.8%、18~59歳:66.1%、60歳以上:14.2%であり、年齢中央値は40歳であった。男女別では男性:42.3%、女性:56.4%であり、92%は個人宅での感染であり、91%は職業とは無関係であった。症状は呼吸器系(咳、上気道痛/そう痒、呼吸困難)、消化器系(嘔吐、悪心、腹痛、腹部痙攣)が多く報告された。重症度は軽度:78%、中等度:21%、重度:0.7%であり、死亡例は4例(0.1%)であった。約93%の症例が活性成分ピレスロイド(78%)またはピレトリン(24%)に曝露し、その原因として噴霧中に室内から退出できなかった(16.6%)、再入室が早かった(14.8%)、TRF流出前に退出できなかった(10.7%)、換気不良(9.2%)、顔や洋服に噴霧した(9.0%)などが挙げられた。また、中等度~重度の症例は男性、高齢者(60歳以上)、喘息患者、噴霧中に退出できなかった人および大量のTRFsに曝露した人が多く認められた。このような急性疾患を抑制するには統合的な害虫駆除の実施とともにTRFsを正しく使用することが重要であり、表示されている使用法をよく読み、指示に従って使用することでこれらの疾患は予防しうると思われる。
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