ホームIMICライブラリMMWR抄訳2017年(Vol.66)ポリオ根絶に向けた進展 ― アフガニスタン、201・・・
2017/08/18Vol. 66 / No. 32
MMWR66(32):854-858
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Afghanistan, January 2016–June 2017
アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアは、地域固有の野生型ポリオウイルス1型(WPV1)の伝播が続く唯一の国である。アフガニスタンの乳幼児における3回の経口ポリオウイルス・ワクチン(OPV3)の推定定期予防接種率は、2015年および2016年ともに60%であった。生後6~23カ月の非ポリオ急性弛緩性麻痺の症例において、定期予防接種を介してOPVを3回以上接種した割合は、全国的なOPV3接種率の代理指標として使用され、2015年65%、2016年67%であったが、地域差が大きく、中心部で100%、ヘルマンド州の南部地方で28%であった。定期予防接種または追加接種活動(SIA)を介しOPVを全く接種していないNFAFPの生後6~23カ月児の割合は、2016年では国内では約1%で、2015年から変化がなかった。2016年1月から2017年5月までのSIAは、2価OPV(1型および3型)または3価OPV(1型、2型、3型)ワクチンのいずれかまたは両方を受けた5歳未満の幼児を対象とした。さらに、ポリオ伝播のリスクが非常に高い、または過去の3回以上のSIAが利用できなかった地域に居住し、以前の接種キャンペーン中に不活化ポリオワクチン(IPV)を受けていない4~59カ月の乳幼児に対し、SIA中にIPVを投与した。2016年10月の全国予防接種デー(NID)期間には、4.4%の乳幼児が安全上の理由から接種を逃し、2017年5月のNID期間では、1%未満の乳幼児が戦争による不安定な状況により接種を逃した。南東地域のアフガニスタンとパキスタンにおける新たな伝播ルートの特定と、南部地域で進行中の症例発見は、持続的な免疫ギャップを際立たせている。2016年にはアフガニスタンで13例のWPV1症例が確認され、2015年に報告された20例から7例減少した。2017年1月から6月にかけては5例のWPV1症例が報告され、2016年の同時期の6例に比べて減少した。ポリオの報告があった地区数は、 2015年の16地区から2016年には4地区に減少した。2016年1月~2017年6月までに報告された18例のうち、13例は生後36カ月未満で、7例はOPVを一度も受けておらず、OPVを受けた回数は1回が1例、2回が2例、4回が1例、5回以上が2例であった。18例中16例は定期予防接種プログラムでOPVを受けていなかった。ポリオウイルス症例と環境分離株のゲノム配列解析により、2016〜2017年にはパキスタンからアフガニスタンへの国境を越える伝播に関する複数のエピソードが明らかになり、アフガニスタンでは地域的な伝播が持続した。アフガニスタンではWPV3および伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型の症例は、それぞれ2010年4月および2013年3月以降はみられていないが、2016年12月にパクティーカー州のBermel地区で1例の不明瞭なワクチン由来ポリオウイルスが発見された。WPV1の根絶を達成するためには、ハイリスクな移動集団の追跡と予防接種のため、近隣のパキスタンと協力してアフガニスタンのポリオプログラムを継続し、安全でない地域の子供に対する取り組みを強化することが重要である。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.