ホームIMICライブラリMMWR抄訳2017年(Vol.66)輸入唐辛子によるSalmonella Anatum・・・
2017/06/30Vol. 66 / No. 25
MMWR66(25):663-667
Multistate Outbreak of Salmonella Anatum Infections Linked to Imported Hot Peppers — United States, May–July 2016
アメリカにおけるサルモネラによる食中毒は年間で100万例、死亡者は400人と推定されている。Salmonella Anatumはサルモネラ菌血清型の上位20位のうちの1つであり、2013~2015年、PulseNetには年間約300~350例報告されている。2016年6月、PulseNetは国内の4つの州において、区別のつかないPFGEパターンを示すS. Anatum感染症16例を確認した。6月の聞き取り調査では14例から回答があり、発症前1週間に患者が食べていたものはトマト(回答例の71%)、豚肉(64%)、アボカド/ワカモレ(57%)、ハラペーニョ(36%)、カンタロープメロン(36%)が多く、14例中7例が発症前1週間の間にメキシカンレストランに行っていた。その後、2016年5月6日~7月9日に下痢を来し、S. Anatumのアウトブレイク株が9州にて32例確認された。患者は36(4~79)歳、男性13例、女性19例であり、25例で入手し得た入院に関する情報では、8例(32%)が入院、死亡例はなかった。面談による調査をした18例中、14例が生の唐辛子または生の唐辛子の入った料理を食べた、または食べた可能性があると述べ、9例はレストラン、2例はレストランと自宅の両方、3例は場所が特定できないと述べた。唐辛子を食べた14例のうち、11例はハラペーニョを食べた、または食べた可能性があり、アナハイムペッパーを食べた人はおらず、ほとんどの人がアナハイムペッパーを知らなかった。感染源の調査では、患者が食事をしたミネソタ州とテキサス州の3つのレストランのうち、2つのレストランはメキシコの混載業者/栽培者(業者B)から入荷していた。この業者Bは2016年4月からアメリカにアナハイムペッパーを輸出しており、栽培者や栽培地の異なる食品を貯蔵していた。3つめのレストランはメキシコのいろいろな会社から入荷しており、アウトブレイク以前は業者Bからは入荷していたが、流通経路が複雑で汚染源の確定には至らなかった。FDAは2016年4月、定期的なサーベイランスとして、業者Bから回収したアナハイムペッパーの検体からS. Anatumを分離しており、追加回収したシラノ唐辛子、ハバネロ、ハラペーニョ、ピーマンからはS. Anatumは検出されなかった。さらに高品質一塩基多型(hqSNP)分析では、19の臨床検体とアナハイムペッパー分離株は遺伝子学的に高い関連性を示した。2016年6月21日にFDAは疫学調査の開始前に業者Bに輸入警告を発している。今回、患者が食べていないと回答したアナハイムペッパーからS. Anatumが検出されているが、これは患者がアナハイムペッパーに馴染みがなく、また唐辛子の種類が多いことから、サルサや他の料理に使用された刻んだ唐辛子の種類を認識できていなかったためと考えられる。
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