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MMWR抄訳
2017/06/02Vol. 66 / No. 21
MMWR66(21):549-553
Amanita phalloides Mushroom Poisonings — Northern California, December 2016
タマゴテングタケ中毒 ― カリフォルニア州北部、2016年12月
タマゴテングタケは「death cap(死のカサ)」と呼ばれるテングタケ科に属するキノコであり、キノコによる中毒死の主な原因となっている。2016年11月28日、Bay Area Mycological SocietyはCalifornia Poison Control System(CPCS)に対し、大量の雨と温暖な気候のため、サンフランシスコベイエリアにてタマゴテングタケが異常に大きくなっていると報告した。その5日後、CPCSは今シーズン初のタマゴテングタケ中毒例の報告を受けた。その後2週間でさらに13例がタマゴテングタケ摂取による肝毒性を来したとの報告があった。最初の症例である37歳男性(患者A)はカリフォルニア州サンタローザにて野生のキノコを2つ採取し、うち1つ(カサと柄)を調理して食したところ、約10時間後に悪心、嘔吐、下痢を来した。患者Aは地元の救急科(ED)を受診し入院となり、食事から20.5時間後に患者が持参した未調理のキノコは菌学者によりタマゴテングタケと確認された。脱水を示唆する乳酸値およびクレアチニン値上昇を伴い白血球数が増加、6時間後の肝機能検査ではAST値は92(正常値:15~41)IU/L、ALT値は95(同:17~63)IU/Lと高値であった。輸液、オクトレオチド、シリビニンが静注されたが、2日後にAST値が6,159IU/L、ALT値が3,084IU/L、ビリルビン値が2.9(同:0.2~1.2)mg/dL、PT-INRは3.2(同:0.8~1.2)となった。その後、消化器症状と臨床検査値は徐々に改善し、入院から6日目に退院となった。また、26歳女性(患者B)は、夫(28歳、患者C)、娘(1歳半、患者D)、患者Bの姉(38歳、患者E)、友人女性(49歳、患者F)と共に山で採取されたキノコを夕食時に食した。患者B、C、Dはキノコのカサをそれぞれ3個、4個、半分食し、患者Eはカサと柄を1本分、患者Fは少量を食した。約9時間後に全例で悪心、嘔吐、下痢を来した。患者B、C、Dは食事から20時間後、脱水症状と消化器症状のためEDを受診し入院となり、輸液、オクトレオチド、シリビニン静注を受けた。患者Bは2日後にAST、ALTのピーク値を示した後に回復し入院6日目に退院し、患者Cも同様であったが、患者Dは不可逆的な劇症肝炎を来し、キノコ接種6日後に肝移植を受けたが、術後に合併症として脳浮腫と永続的な神経障害を来した。患者Eも劇症肝炎を来し肝移植を受けたがその後回復し、入院13日目に退院した。患者Fはキノコ摂取の2日後に入院し、輸液、オクトレオチド、シリビニン静注にて肝機能が回復し、入院6日目に退院した。さらに患者G(36歳男性)は友人がハイキングで採ったキノコ(のちにタマゴテングタケと判明)を食して発症、また、患者H(56歳男性)はキノコを食した2日後に受診、肝移植を行った。また、86歳、93歳の女性は友人が採った野生のキノコを食べて発症し、4名の男性(19歳、22歳が各2名)も野生のキノコを食べて発症し、いずれも肝機能は改善している。野生のキノコを食べる場合は専門家による判断が必要であり、2016年はとくに気候の影響でキノコが豊富であるため、菌学者は注意を呼びかけている。
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