ホームIMICライブラリMMWR抄訳2015年(Vol.64)ポリオ根絶への進歩 ― パキスタン、2014年1月・・・
2015/11/20Vol. 64 / No. 45
MMWR64(45):1271-1275
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Pakistan, January 2014–September 2015
2014年7月、ナイジェリアにて野生型ポリオウイルス(WPV)1型(WPV1)の最後の感染例が報告され、WPV1伝播を認める国はパキスタンとアフガニスタンの2カ国となっている。今回は2014年1月~2015年9月におけるパキスタンでのポリオ根絶に向けた活動について報告する。2014年の乳児の経口ポリオウイルスワクチン(OPV)の3回接種率は72%であり(前年から変化なし)、6~23カ月の乳幼児のOPV接種率は66%(2013年:71%)であり、地域別では連邦直轄部族地域(FATA):18%、バローチスターン州:35%、シンド州:58%、カイバルパクトゥンクワ州(KPK):63%、パンジャブ州:83%であった。この期間、5歳未満児を対象とした戸別の追加接種活動(SIA)は1価OPV1型および2価OPV(1、3型)が使用され、3価OPV(1、2、3型)は循環ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)感染リスク抑制のため使用された。不活化ポリオウイルスワクチンは2014年11月以降、11回のSIAにて使用され、FATAの治安上懸念のある地域、カラチのハイリスク地区およびFATA周辺の難民居住地区の小児約170万人に接種された。予防接種を受けていない6~23カ月齢の非ポリオ急性弛緩性麻痺(AFP)患者は2014年:6.3%から2015年:2.1%に減少(FATAでは2014年:38%から2015年:8%)、4回以上の接種を受けた患者は2014年:88%から2015年:96%に増加した。予防接種率を向上するため、FATA、カラチおよびKPKのハイリスク地区にて約2,000カ所のキャンプが設置され、50万人以上の小児にOPVが接種された。15歳未満の非ポリオAFP症例は10万人あたり6.2(地域別にて1.4~13.7)であり、便検体の回収率は88(80~92)%であった。また、2014年1月~2015年10月にて37地域から615の汚水検体が採取されており、2015年1~9月には325検体中64検体(20%)がWPV1陽性を示した(2014年:98/294検体、34%)。WPV症例数は2013年:93例、2014年:306例、2015年(1~9月):38例が報告されており、2015年の38例中11例(29%)はワクチン未接種例、32例(84%)は23カ月齢未満の小児であり、地域別ではKPK:15例(40%)、FATA:11例(30%)、バローチスターン州:6例(16%)、シンド州:5例(13%)、パンジャブ州は1例であった。また、cVDPV2症例は2013年:48例から2014年:22例に減少し、2015年は2月に2例報告されている。また、WPV3の最終症例は2012年、FATAにて報告された。以上、2015年1~9月、WPV1症例および陽性汚水検体は急激に減少しているが、依然として地域差があり、WPV伝播を阻止するためには定期的予防接種プログラムの改善が必要である。
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