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MMWR抄訳

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2015/10/23Vol. 64 / No. 41

MMWR64(41):1166-1170
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Afghanistan, January 2014–August 2015

ポリオの根絶へ向けた進展― アフガニスタン、2014年1月~2015年8月

近年の世界的なポリオ根絶への進歩にかかわらず、アフガニスタンとパキスタンでは野生型ポリオウイルス(WPV)の流行性伝播が続いている。ここでは20141月~20158月におけるアフガニスタンでのポリオ根絶活動とその進展について報告する。2014年、アフガニスタンにおける乳児の経口ポリオウイルス(OPV)3回接種(OPV3)率は75(2013年:70)OPV3回以上接種した623カ月児における非ポリオ急性弛緩性麻痺(NPAFP)の割合は64%であり、地域別では南部の紛争地域:24%、南東地域:50%、西部地域:63%、その他5地域: 70%超であった。この期間、5歳未満を対象とした戸別訪問による追加接種活動(SIAs)41[全国予防接種日(NIDs)7回、地域別予防接種日:6回、短期間の症例ごとの追加接種活動:28]実施された。さらに不活化ポリオウイルスワクチンによる接種活動が南部および東部のハイリスク地域にて行われた。アフガニスタンでは紛争および情勢不安定が続き、アクセスが制限される地域(南部、東部の一部および西部ファラー州)があり、2015年に実施されたNIDsにおいて5歳未満の幼児約900万人のうち13%が居住していたと推定され、また、南部地域でのSIAsではヘルマンドおよびカンダハール州にて地域の反政府勢力により接種活動が妨げられ、20155月および8月のNIDsでは、アクセス不可のためそれぞれ32%、14%の小児が接種を受けられなかった。急性弛緩性麻痺サーベイランスでは、2014年における15歳未満のNPAFP症例は10万人あたり12.6(地域別にて9.115.5)であり、便検体の回収率は92(8298)%であった。20139月から5つの州(南部のカンダハール州、ヘルマンド州、東部のナンガルハール州、クナル州、中央部のカブール州)にある13地域にて行われている汚水のサンプリングでは、20147月に初めて陽性の検体を認め、以後、25検体がWPV1陽性を示し、2014年は97検体中18検体(19)2015年は現時点にて93検体中7検体(8)が陽性であった。WPV症例数は2014年にて28(うちカンダハール州:13、北ワジリスタン地区:3)201518月にて9(西部ファラー州:4、東部ナンガルハール州:2)が報告され、計37例中26(70)36カ月未満の幼児であった。また、WPV3およびワクチン由来ポリオウイルスは検出されていない(それぞれ20104月、20133月以降)。アフガニスタンおよびパキスタンでのポリオ根絶のためには、予防接種およびサーベイランスの強化が必要であるが、現在は地域差があり、対策が急がれる。

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