ホームIMICライブラリMMWR抄訳2015年(Vol.64)最後に確認されたエボラウイルス病の集団の制御 ― ・・・
2015/05/15Vol. 64 / No. 18
MMWR64(18):500-504
Controlling the Last Known Cluster of Ebola Virus Disease — Liberia, January–February 2015
リベリアは2014~2015年にエボラウイルス病(Ebola)流行の大きな影響を受けた西アフリカ3カ国の一つで、約10,000例のEbola患者が報告された。リベリアのEbola流行は、都市部に集中した伝染、都市部から来た患者が起源となった多発的な地域発生、医療機関でのアウトブレイクが特徴であった。今回、一連の症例調査および接触者追跡のデータに基づき、リベリアにおいて最後に確認されたEbola伝染連鎖の阻止のための取り組みを報告する。発端となった患者は50歳女性で、2014年12月29日にモンセラード郡(モンロビア)のSt. Paul River Bridge近くの集落で発症した。集落の漢方医を訪問後、1月4日に高熱、眼の充血、咳のため医療機関を受診した。Ebolaが疑われたが、患者はEbola治療ユニット(ETU)への紹介を拒否し、抗生物質と解熱剤を処方されて帰宅した。1月5日に、患者はETUに入院し、その後、死亡した。死後の口腔液のスワブ検体から、エボラウイルスがPCR法により検出された。同じ地域でEbola患者が報告されていたが、発端となった患者の家族は他のEbola患者との接触はなかったと報告した。その後7週間にわたり、あらたに検査で確認されたEbola患者21例は、この症例に関連しており、内訳は、家族11例、隣人6例、集落の住人2例、医療従事者1例、漢方医1例で、発端者からの感染は1代目(5例)、2代目(10例)、3代目(6例)であった。発端となった患者を含む20例はETUで治療を受け、このうち13例が死亡した。ETUで治療されなかった2例は、集落で死亡した。感染制御の取り組みの向上により、感染の世代が進むほどETU入院までの期間の短縮および死亡率の低下を認め、1代目、2代目、3代目の患者の症状発症後ETU入院までの平均日数は各6.0日、4.7日、1.5日、症例死亡率は各100%、60%、50%であった。伝染の連鎖は、新規の症例の早期の発見、ハイリスクの接触者が受容できる環境での監視および支援、ヘルスケアシステム内の有効なトリアージ、症状が発現した接触者の迅速な隔離を行うことにより阻止された。また、モンセラード郡を地理的な「セクター」に分割し、地域のニーズに迅速に反応するための対応チームの活動を容易にした。アウトブレイクの最終段階において、人口密度の高いモンセラード郡での伝染を阻止するために、パートナー間の強力な協調および地域リーダーの関与が必要であった。リベリアでは、2月19日以降、新規のEbolaの集団は検出されず、5月9日にWHOはリベリアでのEbolaアウトブレイクの終息を宣言した。
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